キヤノン「PIXUS MG6230」は、“もう1つの本命”として浮上するか?:2011年末プリンタ徹底検証(2/5 ページ)
「PIXUS MG6230」はキヤノンが放つ家庭向けインクジェット複合機の大本命モデル。タイ洪水の影響を受けたが、生産拠点の切り替えによる復活を図る。もちろん、その実力は確かだ。
グレーインクと2つのブラックインクを搭載
プリントエンジンは染料5色に顔料ブラック(BCI-325)を合わせた6色構成を採用。インクカートリッジは前モデルのMG6130から変更はなく、染料系のBCI-326(シアン、マゼンタ、イエロー、グレー、ブラック)と顔料系のBCI-325(ブラック)を使用する。キヤノンが「6色W黒(ダブクロ)」と呼んで、競合機種との違いをアピールする部分だ。
低濃度のカラーライトインクは持たないものの、グレーインクによるモノクロ印刷での階調表現力やグレーバランスのよさ、そして顔料ブラックインクによる普通紙やはがきのシャープな黒印字を実現しているのがポイントとなる。カラー写真の印刷についても、高密度プリントヘッド技術「FINE」が威力を発揮し、最小ドロップサイズが1ピコリットルと小さく、細かくインクを打ち分けられるため、6色染料機に比べて仕上がりで不満を感じることはまずないだろう。
プリントヘッドのノズル数はシアン、マゼンタ、グレーが各1536ノズル、イエロー、染料ブラック、顔料ブラックが各512ノズルの合計6144ノズルと非常に多く、画質と印刷速度の両面で貢献する。公称の印刷速度は、L判写真用紙(写真用紙・光沢 ゴールド)1枚で17秒とされている(印刷速度の測定結果は後述)。
スキャンエンジンは、読み取り部に解像度が4800×4800dpiと高いCISを採用。読み取り階調はRGB各色16ビット入力、8ビット出力に対応する。USB接続での運用のほか、ネットワークスキャナとしても利用が可能だ。また、スキャンしたデータをUSBメモリや各種のメモリカードに保存できるなど、スタンドアロンでもスキャナとしての運用が可能になっている。
光がナビゲートする操作パネルはさらに進化
天面に配置された操作パネルは、PIXUSが昨年から取り入れた「インテリジェントタッチシステム」(Intelligent Touch System)を継承している。
LEDと静電センサーを組み合わせた操作ボタンは、何もしていない状態ではブラックアウトしていて見えず、メニュー操作に応じて必要なボタンだけをLEDで浮かび上がらせることで、複合機の操作を分かりやすくしている。もちろん、液晶モニタには簡易ナビゲーションも表示される。
フラットな黒い天面に静電センサーのボタンがフワッとLEDで浮かび上がる様子は、一昔前のゴツゴツしたボタンが並ぶ複合機から買い換えた場合に、最も進化を感じる部分かもしれない。
インテリジェントタッチシステムの特徴は、静電センサーを用いた操作感にある。ボタンのように押し込む必要がなく、指をスライドさせるだけで操作が可能だ。センサーの感度はよく、液晶モニタのメニュー表示も機敏なので、作業を軽快に進めることができる。なお、従来機のユーザーインタフェースで好評を得たホイール操作も静電センサーのサークルで実現している。
液晶モニタのメインメニューは、多数の項目を1画面に詰め込むのではなく、あえて1画面内のアイコン数を3つまでに絞り込んでいる。キヤノンによれば、これは操作に迷わないようにするためと、老眼や乱視の方でも十分な視認性を確保できるようにするためとのことだ。情報の一覧性は高くないが、軽快に操作できるので、ページ送りやメニュー階層をたどっていくのに煩わしさはない。
視認性向上へのアプローチは、ページ辺りの項目数を絞ることだけにとどまらない。3.0型と大きめの液晶モニタをはじめ、写実的なアイコンや、読みやすいフォント、字間やディザリングの最適化も行って、直感的な操作をフォローしている。
最近のインクジェット複合機は、機能が豊富になったため、ともすれば操作に戸惑うこともあるが、このユーザーインタフェースならば、誰でも簡単にプリントを楽しむことができるだろう。
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