ギガビットを超える「第5世代Wi-Fi」、2012年半ば製品登場へ:「IEEE802.11ac」通信速度は最大3.6Gbps(2/2 ページ)
有線LANより高速な新世代の無線LAN規格「IEEE802.11ac」対応製品が2012年内にも登場する。802.11ac=5G WiFiと訴求し、11n比で通信範囲は3倍程度、通信速度は3〜4倍、バッテリー動作時間は最大6倍になるという。
「5G WiFi」対応製品は2012年半ばから、日本市場も2013年には
改めて802.11acは、
- 5GHz帯を用い、最大80MHzのチャネル幅を使用可能
- データ伝送効率を向上させる256QAM変調方式を採用
- ビームフォーミングをサポート
- 低密度パリティ検査(LDPC)符号をサポート
- 空間ブロック(STBC)符号をサポート
の特徴を持つ。
Broadcomのチップは2.4G/5GHz帯のデュアルバンド対応で、2.4GHz帯を含む既存802.11a/b/g/nとともに、Wi-Fi Direct、Bluetooth、NFC(Near Field Communication)といったほかの無線通信技術も1チップでまかなえるようだ。40ナノメートルプロセスで製造される新チップそのもの省電力化とともに、より高速にデータ転送を完了できることでさらなる電力効率の向上も図れる。
同社テストによると、近距離において802.11nの実測約200Mbpsに対し、5G WiFiは実測約750Mbps(3ストリーム 3×3 MIMO/80MHz幅)を記録。また、高解像度動画の配信に必要な100Mbpsを確保する場合も802.11nの30メートル以内に対し、5G WiFiは80メートル離れてもそのスループットを維持する性能があったという。高速な通信速度のスペックはもちろん、距離が離れても4Kクラスの大容量動画コンテンツの利用で満足のいく速度で使える点は特に大きなメリットになるだろう。
「2013〜2014年にかけて、5G WiFi対応機器の無線LAN機器出荷台数の割合が5割を超えると予測している。過去、802.11nはドラフトと最終版で互換性がなかったことでベンダー/ユーザーともに不利益があったが、802.11acはまだドラフト段階ではあるものの、2012年内には正式版となる見込み。仮に正式版で仕様が変わったとしてもソフトウェアベースでのアップデートで済む範囲になり、致命的なユーザー不利益はないと想定している」(Broadcomのハーストン氏)
PC周辺機器ベンダーのバッファローは、このBroadcom製5G WiFiチップを採用した初の802.11acドラフト対応無線LANルータ機器をいち早く市場投入する予定とし、2012 CESで展示した実測800Mbps超のデモを紹介した。
5G WiFi製品は米国において、2012年半ばのルータ機器投入を皮切りに、2012年第3四半期にゲートウェイ、2012年第3〜第4四半期にPC、2012年第4四半期にテレビ・AV機器、2012年第4四半期〜2014年第1四半期にスマートフォン/タブレットが登場する予定。日本市場においても、総務省による802.11acの認可が出次第、2013年ごろに製品が登場するとみられる。
「5G WiFiは、これまでのPCやスマートデバイス以外に家電業界からも注目されている。現在普及する802.11nも2012年現在のニーズを満たすには十分かもしれないが、数年後にはもう満たせなくなる。無線LAN対応機器は、2010年の10億台未満から2015年には30億台ベースまで拡大する見込みで、テレビ・AV機器やカメラ機器、車、ヘルスケア分野、電力スマートグリッド分野なども含めて家庭内のあらゆる電子機器に搭載されるようになる」(Broadcomのハーストン氏)
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