“無印”な3DMarkをTITANで走らせる:イマドキのイタモノ(3/3 ページ)
3Dベンチマークの最新版「3DMark」が登場した。3DMark 06、3DMark Vantage、3DMark 11と進化した“無印”は、従来とはちょっと違う「3DMark」になっている。
GPU性能差がよりハッキリと把握できる
実際に新しい3DMarkでグラフィックスカードを測定した結果は、従来の3DMarkシリーズの測定結果と異なるのだろうか。x86/x64 Windows版のProfessional Editionを用いて確認してみよう。用意した評価用のシステム構成は、OSが64ビット版のWindows 8 Pro、CPUがCore i7-3770K(3.5GHz、Turbo BoostTechology有効時で最大3.9GHz)、マザーボードがGIGABYTEのGA-Z77X-UD3H(Intel Z77 Expressチップセット搭載)、システムメモリがCFD販売扱いでElixerのW3U1600HQ-4G(DDR3-1600 4Gバイト×2枚)、SSDがOCZのVector 256GB、そして、グラフィックスカードがPalitのGeForce GTX 680搭載モデル JETSTREAM 2048MB GDDR5だ。テストの測定条件はプリセット状態から変更していない。
この条件でGeForce GTX 680を測定したスコアは、Ice Stormが139409、Cloud Gateが20921、Fire Strikeが5314、Fire StrikeのExtremeが2566だ。
Result画面には、3つのテスト(DirectX 9対応までのグラフィックスカードを測定した場合など、実行できないテストについてはその該当項目を省略する)のovaerall scoreと、Grahics score、Phyics score、GT1、GT2、Physics test、Combined testといった具合に、スコアや各テストの平均フレームレートを表示する。また、その横には、テストを実行中に取得したフレームレートやCPU温度、GPU温度、CPU消費電力やCPUの動作クロックといったハードウェア情報をグラフで表示する。グラフによって、負荷とハードウェアの温度の関係も見て取れるのはハードウェアの評価ツールとして有用な機能だ。3つのシナリオを実行すればある程度長時間に渡って負荷をかけることになり、熱暴走の兆候を予測することもできる。
なお、オンラインで3DMarkを実行すると、ベンチマークテストの結果をFuturemarkの専用Webサイトに投稿できる。このあたりの機能は3DMark 11と同様だ。オーバークロッカーがスコアを競うのにも使えそうだが、自分が組み立てたPCが正常に動作しているのかのを確認する指標としても使えるだろう。
GPUの性能とハードウェアの時系列変化の関係も
続いて、異なる3種類のGPUで3DMarkのスコアを比較してみる。用意するのは、GeForce GTX 680に加えて、Radeon HD 7970、GeForce GTX TITANだ。合わせて、3DMark 06と3DMark Vantage、そして、3DMark 11で測定したスコアも並べてみた。
3DMarkでハイエンドGPUを測定した場合、Ice Stormのスコアは6ケタに達してしまうが、そのほかは5ケタ前半に収まる。ただ、少なくとも軽い負荷のシナリオほど高いスコアになる点で妥当だ。一方、3DMark 06は、3DMark Vantageのスコアよりも小さく、さらに、各GPUで差が付かない状況になっている。
ここで気になったポイントを確認すべく、GeForce GTX 680を100とした相対値を並べてみると、3DMarkのスコアでは、各GPUの性能差がより明確になる傾向を示すことが分かる。さすがにIce Stormの結果はケタが大きすぎるが、そのほかのテストでは、GPUの違いがスコアの差で把握しやすい。一方、従来の3DMarkシリーズで測定した値は、GeForce GTX TITANが飛び抜けているのは分かるものの、GeForce GTX 680とRadeon HD 7970の差は捉えにくい。3DMarkは、従来の3DMarkシリーズで把握できなくなりつつあるハイエンドGPUのスコアを修正するという視点で意義があるといえそうだ。
なお、Advanced Edition以上では、結果ファイルを拡張子「.3dmark-result」の独自形式ファイルとして保存できる。この拡張子をzipにリネームして展開すると6つのファイルを生成する。このうち、「Result.xml」は測定結果を収録したファイルで、Monitoring.csv(「;」区切り)がハードウェア状態の時系列変化データを収めたファイルとなっている。GPUの温度とフレームレートの時系列変化を比較するなど、ユーザーが独自に行う解析で有用になるだろう。
クロスプラットフォーム対応、DirectX 9/10/11を一括してテストできる新しい「3DMark」では、今後登場する予定のWindows RT/Android/iOS版がそろえば、3D性能の統一指標として利用できるようになる。これまで、DirectXの異なるバージョンごとに性能指標として3DMark 06や3DMark Vantageを使ってきたが、ハイエンドGPUではスコアの上限に達してGPUごとの違いが分からなくなっていた。こういう状況でも新しい3DMarkが有効に利用できるようになるはずだ。
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