ミドルレンジGPUシリーズ本選! GeForce GTX 650 Ti BOOSTも走る:イマドキのイタモノ(1/3 ページ)
Radeon HD 7790に続いて、GeForce GTX 650 Tiの上位モデルが登場した。実売価格2万円前後のミドルレンジGPUが発揮する最新パワーを新旧ラインアップで検証する。
660と650 Tiの間のGPUって必要あるのかないのか
GeForce GTX 650 Ti BOOSTは、GeForce GTX 660とGeForce GTX 650 Tiの中間に入るGPUだ。直接のライバルはRadeon HD 7850になるが、登場したタイミングとしては、Radeon HD 7790の対抗GPUとみることもできる。そこで、GeForce GTX 650 Ti BOOSTと同時にRadeon HD 7790もあわせて、実売価格2万円前後の最新ミドルレンジGPUの性能を従来のモデルと比較してみる。GeForce GTX 650 Tiの発表から約半年、Radeon HD 7770の発表から約1年が経過しているが、2013年春に登場した最新モデルは、どこまで性能を向上したのだろうか。
GeForce GTX 650 Ti BOOSTのGraphics Processing Clusters(GPC)は、2、または3基としているのはGeForce GTX 650 Tiと共通する。搭載するCUDAコアもGeForce GTX 650 Tiと同じ768基だ。一方で、レンダーバックエンド、ROPsはGeForce GTX 650 Tiの16基から24基に増え、グラフィックスメモリのバス幅も192ビットに拡大している。これは、同じGK106世代のコアを採用するGeForce GTX 660と同じ仕様になる。
型番 | GeForce GTX 660 Ti | GeForce GTX 660 | GeForce GTX 650 Ti BOOST | GeForce GTX 650 Ti | GeForce GTX 650 | GeForce GTX 640 |
---|---|---|---|---|---|---|
コードネーム | GK104 | GK106 | GK106 | GK106 | GK107 | GK107 |
GPC | 4 | 3 | 2or3 | 2or3 | 1 | 1 |
SM | 7 | 5 | 4 | 4 | 2 | 2 |
CUDA Core | 1344 | 960 | 768 | 768 | 384 | 384 |
テクスチャユニット | 112 | 80 | 64 | 64 | 32 | 32 |
ROPユニット | 24 | 24 | 24 | 16 | 16 | 16 |
GPUクロック(MHz) | 915 | 980 | 980 | 925 | 1058 | 900 |
Boost Clock(MHz) | 980 | 1033 | 1033 | - | - | - |
テクスチャフィルレート | 102.5 | 78.4 | 62.7 | 59.2 | 33.9 | N/A |
グラフィックスメモリクロック(MHz) | 1502 | 1502 | 1502 | 1350 | 1250 | 900 |
グラフィックスメモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | DDR3 |
グラフィックスメモリ接続バス幅(ビット) | 192 | 192 | 192 | 128 | 128 | 128 |
グラフィックスメモリ帯域幅 | 144.2 | 144.2 | 144.2 | 86.4 | 33.9 | 28.5 |
グラフィックスメモリ容量(MB) | 2048 | 2048 | 2048 | 1024 | 2048 | 2048 |
2次キャッシュメモリ(KB) | 384 | 384 | 384 | 256 | 256 | 256 |
最大消費電力(TDP)(ワット) | 150 | 140 | 140 | 110 | 64 | 65 |
補助電源レイアウト | 6+6 | 6 | 6 | 6 | 6 | − |
DirectXサポート | 11 | 11 | 11 | 11 | 11 | 11 |
PCI Express Gen. | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 |
トランジスタ数(億) | 35.4 | 25.4 | 25.4 | 25.4 | 13 | 13 |
プロセスルール(ナノメートル) | 28 | 28 | 28 | 28 | 28 | 28 |
Thermal Threashold(摂氏) | 98 | 98 | 98 | 98 | 98 | 98 |
GK106というベースがあり、GeForce GTX 650 Ti BOOSTは、その派生モデルだが、上にはGeForce GTX 660が、下にはGeForce GTX 650 Tiがある。型番的には空白があったわけでもなく、それどころか、「Ti」まで用意して“しまった”NVIDIAとしては、新しいGPUに「BOOST」と名づけた。「655」や「660 LE」ではなく、インパクト重視の命名だが、BOOSTという名の通り、ミドルレンジGPUで「GPU Boostが有効」というのがGeForce GTX 650 Ti BOOSTで訴求する重要なポイントとなる。
GeForce GTX 650 Ti BOOSTの動作クロックは、GeForce GTX 660と共通する。GPUクロックは980MHzで、Kepler世代コアから上位GPUで利用可能になったオーバークロック機能、GPU Boostもサポートする。Boostクロックも1033MHzで、GeForce GTX 660と同じだ。CUDAコア数の違いなどにより、Boostモードにおける挙動まで一緒とはならないだろうが、逆にCUDAコアが少ない分、同じクーラーユニットならGPU温度のヘッドルームが大きくなることで、Boostがよく効く可能性もある。
このように、構成ユニットの数ではGeForce GTX 650 Ti、動作クロックとグラフィックスメモリの仕様ではGeForce GTX 660にそれぞれ共通するのが、GeForce GTX 650 Ti BOOSTのスペックだ。ちなみに、このような派生モデルは、Kepler世代のコアにおける、コア数とバス幅、そして、動作クロックの関係を知る、あるいは、各ゲームにおけるコア数とバス幅・クロックの関係を把握する、という目的では非常に興味深い。
TDPは同じGK106コア派生モデルのなかでも、GeForce GTX 660と同じ140ワットに設定している。稼働するコア数が異なるため、実際の動作ではより低くなる可能性もある。補助電源コネクタは、GTX 660、GTX 650 Tiと同様、6ピン1基だ。
今回、評価用機材として使うのは、GeForce GTX 650 Ti BOOSTのリファレンスデザインに準ずる具らふぃクスカードだ。後部にブロワーファンを置き、ブラケット側のスリットから排気を行う。基板は、回路実装部分よりも長さのあるもので、グラフィックスカードの設計次第では短い基板もモデルも可能と思われる。外部補助電源コネクタも、基板後部ではなく、上部の中央よりに配置している。
関連キーワード
GeForce | Radeon | Radeon HD 7000シリーズ | ミドルクラス | NVIDIA | グラフィックスカード | Kepler | GPUコンピューティング | バイオハザード6 | Just Cause | バトルフィールド | イマドキのイタモノ
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.