「HWD14」で現在のWiMAX 2+の挙動を知る──ハンドアップ/ダウン、ハンドオーバー編:改めておさらい「WiMAX 2+」(2/2 ページ)
2回のアップデートを経て少しよくなった「Wi-Fi WALKER WiMAX2+ HWD14」。改めて、WiMAX 2+とWiMAX 2+対応ルータはどんな特性があるかをじっくりチェックする。
高速移動中でも快適に使えるか──HWD14のハンドオーバー性能を確認
スマートフォンやタブレットなどともに移動しながら使いたい人にとって、高速移動時のハンドオーバー性能もルータ機器のポイントの1つになる。ただ、こちらはネットワークの密度はもちろんだが端末の性能にも大きく依存し、公開スペックとして表れないので実際に運用しないと分からない。発売直後のHWD14は、WiMAXの送受信性能に対する不満の声が多かった点も気になるので合わせてチェックしょう。
徒歩移動や路線バスくらいの移動速度であれば、ハンドオーバー性能に関してはまず問題ない。それより速度が上がる電車での移動について、JR東海道線の川崎−横浜間でUroad-SS10とハンドオーバー性能を比べてみた。URoad-SS10のハンドオーバー性能については、過去に「“ツカミ”がうまい、さすがURoadシリーズ──薄型9時間のWiMAXルータ「URoad-SS10」の実力チェック」で検証しているので別途参照してほしい。
さて、このテストでもHWD14はデータの流れが途切れることはまれで、“ハンドオーバー性能がよい”と評価するUroad SS10と比べても見劣りしなかった。2台のスマホをそれぞれHWD14とUroad SS10へ接続し、(常時何かを通信している状態を維持するため)ユーザーストリーム対応のTwitterアプリでツイートを受信し続けたが、このユーザーストリームが途切れることなくツイートはスムーズに表示され続けた。
一応、HWD14は一瞬つまずいて、パラパラパラっと明らかにまとめて追いつくようにツイートが流れる動きも見られたが、これは頻度こそ少ないがUroad SS10にも見られる現象だ。JR東日本の沿線はWiMAXエリアがかなり充実している傾向だが、川崎駅−横浜駅間は路線の合流や広大な(比較的ユーザー密度が低い=あまり積極的に強化しなくてもよい)車両基地の存在もあり、案外モバイル通信の難所であったりする。NTTドコモのXiスマートフォンであっても2〜3度は必ずLTEから3G接続に切り替わってしまうくらいの場所である(2013年12月末時点)。
続いて、HWD14のWiMAX→WiMAX 2+へのネットワーク自動切り替え具合も見てみよう。同区間にて意図して通信は行わずルータの様子を見ところ、WiMAX 2+に切り替わることはほとんどなかった。この動きの傾向は、前述した「停止時、WiMAX 2+エリアなら、通信継続状態でなければWiMAX 2+接続に切り替わる」──に関連するものだ。
もちろんテストした区間のいくつかの駅周辺はWiMAX 2+エリア化しているが、移動時において、WiMAX 2+がある程度安定して受信できる状態でなければハンドアップしない動きとなる。2013年12月末時点において、WiMAX 2+は携帯キャリアのLTE/3GネットワークのようなCS(回線交換)フォールバック機能を備えておらず、WiMAX 2+のエリア内であるかどうかは端末自身がチェックしているという事情も影響していると思われる。
もっとも筆者の個人的な感覚では、無意味にがんばってWiMAX 2+にハンドアップしたとしても、結局ハンドアップ/ダウンの繰り返しでデータの流れが途切れたり肝心のWiMAX 2+側で通信が不安定になるくらいなら、そのままWiMAX接続にてスムーズに使えた方がいい。先に述べた通り、川崎駅−横浜駅間はより密と想定されるXiネットワークでも数回はLTEから3Gへ切り替わることがあり、ハンドオーバー中のデータが流れない時間にいらいらさせられる。逆に、HWD14は余計なことをしない分、この類いのストレスを感じることはなかった。
(続く)
次回は、同一条件下でWiMAX 2+とWiMAX、HWD14と既存WiMAXルータにおいて、実通信速度にどれほど違いがあるかを検証する予定です。
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