自宅Wi-Fiを高速な「802.11ac」にしましょう──事例別「802.11acホームルータ」導入ガイド(前編):ワタシはどのモデル/構成を選べば幸せ?(3/3 ページ)
“より高速・快適”になる無線LANの最新規格「802.11ac」対応機器がいよいよ普及しはじめてきた。今回は仕様/導入シーン別に802.11acルータのラインアップを拡充するNECのAtermシリーズを例に、「自宅ではどんなルータを、どんな構成で選ぶとよいか」を考察しよう。
事例別「11acホームルータ」導入ガイド
- 【導入事例 1】家族みんなが、それぞれPC、スマートフォン、タブレットを使う場合
- 【導入事例 2】ワタシはハイクラスPCユーザー。なにより「速度/レスポンス」を求めたい
- →【導入事例 3】テレビやレコーダーも含めて11ac化したい
- 【導入事例 4】階上や離れた部屋で「無線LANの電波が届きにくい」のが困っている
- 【導入事例 5】階上でも“もっと高速”を。AV機器と連携した番組ネットワーク配信も行いたい
【導入事例 3】テレビやレコーダーも含めて11ac化したい
いまや、家電も高速な無線LAN化が進んでいる。身近なところではリビングルームのテレビとレコーダー、据え置き型ゲーム機などがある。AV機器はインターネットを使用する動画配信サービスも利用でき、Blu-rayレコーダーも録画した番組を離れた個々の部屋でも楽しめるネットワーク配信機能が備わっている。
一方、家電の無線LAN対応が進んだのはここ1〜2年ほどで、内蔵しているならともかく、専用のUSB無線LANアダプタ(テレビ専用の無線LAN子機など)はPC周辺機器と比べると意外に高額なので導入を踏みとどまっている人も少なくないだろう。
さらに「ハイビジョン番組のネットワーク配信」はPC利用以上に無線通信速度と安定性のパフォーマンスを要する。速度が遅いと、映像が途切れてしまう、配信側が“遅い”と判断して低画質に調整してしまい画質がいまひとつになるといった使い勝手を損ねる弊害がある。試してみたが、ちょっと遅くて使いものにならない……と思ったことがある人、有線LANなら速いことは知っているがケーブルをはわすのは無理がある……とあきらめていた人もいるだろう。
参考までに、MPEG-2録画番組は25Mbpsほど、AVC録画番組は8Mbpsほどのビットレートである。最低でもこの速度を「下回らない」ことが求められ、快適に楽しむにはこの2倍の速度を維持するのが目安。例えばnasneなどは同時に2つの録画番組をネットワーク配信できるが、ふたりが同時に使うのであればさらに2倍の速度が必要と考えてほしい。25×2×2で100Mbpsという感じか。
この導入事例にずばり向くモデルは「AtermWG1800HPイーサネットコンバータモデル」だ。前述したAtermWG1800HPを2台セットにしたパッケージで、1台を親機に、もう1台をリビングルームのテレビ台付近に設置し、この区間を最大1.3Gbpsの11acで「無線化」できる。
ポイントは、テレビやBlu-rayレコーダー、CATV/スカパー!のチューナー、nasne、PlayStation 3/4など、有線LANが付いているAV機器/ゲーム機をまとめて無線対応にできること。有線LANさえ付いていれば大丈夫だ。AtermWG1800HPは最大5台(子機側は、WANポートもLANポートとして使える)接続できるギガビット有線LANポートを実装している。
この2台のAtermWG1800HPは、購入時点で802.11acで接続するようあらかじめ設定済みとなっているのが便利。また、本機はギガビット対応のLANハブとしてももちろん機能するので、リビングルームの子機に接続したAV機器間の通信も高速に行える。例えば複数台のBlu-rayレコーダー間で行うネットワークダビングする作業は、(1台のルータで運用する)親機経由で無線通信するよりたいていの場合は大幅に高速だ(他の機器で使うための無線LANの帯域を消費しないという副次的な効果もある)。こちら、すでに無線LAN内蔵のテレビやレコーダーを使っているとしても、あえて有線LANを活用して本機でまとめて無線LAN化するメリットが十分ある。
では2台のAtermWG1800HPを使用した無線LAN区間の実速度はどのくらいか。ペアリング済みのAtermWG1800HPへ、それぞれギガビット有線LANで接続したPCで参考速度を計ってみた。
結果は下り479Mbps、上りで484Mbps。仮に5台のAV機器を使うとしても、1台あたり約100Mbpsの速度を確保できる計算だ。このポテンシャルは、通信距離が離れても相対的に速度を維持できる性能を持っていることを示す。移動距離で約20メートル離れた別の部屋へ一方を移しても下り340Mbps、上り344Mbpsを記録し、同じく5台のAV機器すべてがハイビジョン番組を配信したとしてもまったく余裕な実速度を維持していた。
もちろんAtermWG1800HPイーサネットコンバータモデルは、前述した【導入事例 2】の利用シーンもカバーする。親機とするAtermWG1800HPには、AV機器用のAtermWG1800HP子機に加え、プライベートルームのPC、NAS、スマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機などを同様に接続し、11ac(およびこれまでの2.4GHz帯を含む11b/g/n)で通信できる。自宅の無線LAN機器を“ほぼすべてまとめて”接続するには、現時点最良と思うオールマイティな選択肢と思う。
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