“収集から収益化”までカバーするインテルのIoT:Edison採用IoTゲートウェイも公開
「データを集めるだけじゃダメ」というインテルのIoTは何が強みなのか。インテルが提供する「一貫できるメリット」とは。
その市場規模はICTを超える
インテルは、9月29日にInternet of Things(IoT)に対する取り組みや事業展開における考え、そして、インテルの技術を採用したIoT向けシステムの実例を紹介する説明会を行った。米Intel本社セールス&マーケティング事業部副社長 兼 エンベデッドセールスグループゼネラルマネージャーのリック・ドワイヤー氏は、インターネットに接続するデバイスが近い将来500億台に達し、インターネットを行き交うデータの量が35ゼタバイトに及ぶ状況において、企業はデータから価値を創出することがビジネスチャンスの源になると訴える。
インターネットからデータを収集だけでなく、得たデータを知識に変換し、その知識で削減できるコストに換算することがIoTの導入では重要になるという。ドワイヤー氏は、GEが試算した結果、航空や電力、医療、鉄道、石油・ガスのそれぞれの業界で燃料やシステム効率、設備投資などを1%削減、または、向上した場合のコスト削減が数百ドル規模になることを示し、IoTの活用による企業収益のメリットを紹介した。
ドワイヤー氏は、IoTを企業に導入する場合において、データが行き交うネットワークやデバイス、ソフトウェア、クラウドストレージが安全であることや、データを取得したデバイスを確実に、かつ、簡単に検出できること、取得したデータが高い信頼性とともに共有できること、膨大なデータから価値のある分析を行えること、そして、分析結果の活用が収益につながることが必要になると訴える。
その上で、ドワイヤー氏は、インテルは従来の半導体メーカーに加えてIoTで必要となるセキュリティ、データの相互運用、そして、分析のそれぞれにも投資を行っており、IoTシステムの利用者や開発者に対して製品やサービスを提供できるようになったことをアピールしている。
IoTシステムのゲートウェイソリューションでは、Atomを組み込んだSoCやWIND RIVERのソフトウェアライセンス、そして、IoT向けのオープンプラットフォームを提供している。ドワイヤー氏は、インテルが提供するリファレンスデザインを採用するゲートウェイソリューションの利点として、パートナー企業がIoT関連製品の開発が容易になり、多種多様な市場に向けて取得するデータの種類にあわせたデータ取得デバイスを短い開発期間で提供できるようになると説明する。
すでに多くのパートナー企業によってインテルのリファレンスデザインを採用したゲートウェイソリューションが登場して、さまざまな企業に導入しているが、ドワイヤー氏は、導入事例としてVnomicsが開発した自動車向けIoTソリューションを取り上げた。速度やブレーキタイミング、ギア操作、そして、燃料消費などの運転関連データを取得して効率的な運転操作をアドバイスするシステムで、物流企業のSAIAでは、運転トレーニングにこのシステムを導入することで60万ドルの燃料コストを削減できた実績を紹介した。
Edison採用IoTゲートウェイもまもなく登場
インテル常務執行役員 事業開発本部長の平野浩介氏は、IoT市場がすでにICT市場に相当する規模で、今後はICT市場を上回る成長となり、日本だけでも2013年の11.1兆円から2018年には21.1兆円になるという予測を示した。
平野氏は、インテルがIoT市場に対して、データを取得するエッジデバイスからデータをインターネット上で行き交わせるゲートウェイ、データを集積するクラウドサービス、そして、データを分析するアナリスティクスまでカバーできることを訴求した上で、エッジデバイス向けプラットフォームの第1弾となる「Edison」を紹介した。
Edisonは、低コストで商品化が容易な小型プラットフォームで、500MHz動作のデュアルコアAtomを組み込んだSoCを実装する。無線接続として無線LANとBluetoorhに対応するほか、多様なインタフェースコントローラに対応して各種開発ボードや拡張ボードを用意している。日本でも10月以降に発売予定だ。
説明会では、Edisonを採用したIoTゲートウェイとしてパートナー企業が開発して販売する「Plat'Home OpenBlock IoTシリーズ」を紹介し、OSにLinuxを導入して各種無線接続と有線接続インタフェースコントローラを実装することで多種多様なセンサーをネットワーク接続するシステムを構築できることをアピールした。
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