MLCで960Gバイト!──OCZのハイエンドSSD「OCZ Vector 180」を試す:東芝A19ナノプロセスMLCの実力は?(4/4 ページ)
OCZのハイエンドSSDに新シリーズが登場した。大容量モデルを追加したほかにも、PFM+による保護機能で長期間使用でもパフォーマンスは低下しないという。
ATTO Disk Benchmark
ATTO Disk Benchmarkでは、いくつかリード、ライトのスコアが落ち込む場合が見られたが、同じ設定でもテスト毎に場所が変化するので、ベンチマークテスト側の特性、あるいは、ベンチマークテストとVector 180との相性と考えられる。最大転送速度は、リードが555.383Mバイト/秒、ライトが530.242Mバイト/秒となった。これも公称値のリード550Mバイト/秒、ライト530Mバイト/秒という値に合致する。ATTO Disk Benchmarkでよくある傾向としては、4Kあたりから転送速度が高まり、32K以降でほぼ最高速に張り付く。4Kの時点でのリード/ライト速度は250Mバイト/秒だ。
AS SSD Benchmark
AS SSD Benchmarkも、シーケンシャルリードが501.9Mバイト/秒、ライトが479.74Mバイト/秒と良好な結果だ。4K-64Thrdもリードが383.07Mバイト/秒、ライトが318.15Mバイト/秒。およそ、CrystalDiskMark 3.0.3と同じ程度といえる。アクセスタイムは、リードが0.034ミリ秒、ライトが0.041ミリ秒だった。
AS SSD BenchmarkのCopy-Benchmarkは、ISOが408.15Mバイト/秒、Programが304.6Mバイト/秒、Gameが305.14Mバイト/秒となった。実環境におけるパフォーマンスという点では、高い性能が期待できる。もう1つのCompuression-Benchmarkについては、多少のスパイクはあるものの、ほぼフラットな結果となった。
まだ少ないMLCで1Tバイトクラスの製品。トレンドを盛り込んだ万能SSDとして有望
Vector 180は、現在のトレンドに合わせてVector 150をリフレッシュしたモデルといえそうだ。SSDの容量は、120Gバイトから250Gバイト、さらに、500Gバイト台に主流が移りつつある。Vector 150でも480Gバイトモデルを用意していたが、さらに多い1Tバイトに近いモデルを置くことは重要だ。実際、SSDベンダー各社は2014年の後半から1Tバイト(960Gバイト)モデルを投入している。
また、コンデンサによるデータ保護機能もハイエンドモデルにおけるトレンドといえる。2014年モデルでいえば、インテルが「Intel SSD 730」シリーズで大きな電解コンデンサを搭載していた。Intel SSD 730はデータセンター向け製品をベースにコンシューマ向けモデルとして開発された経緯があるが、実際、コンシューマPCではシステムの不調により電源から落とさなければならないような場合がある。こうした点で、コンシューマ向けハイエンドモデルにもデータ保護機能を搭載することは、ユーザーにとってメリットとなるだろう。
なお、PFM+機能については、データをバックアップするという処理が介入するため、OCZによれば多少のタイムラグが発生するという。また、480Gバイト以下のモデルではNANDフラッシュメモリに2CE(2層のダイ)、960Gバイトモデルでは4CE(4層のダイ)を用いており(そのため同じチップで倍の容量を実現している)、厳密には960Gバイトモデルが処理に時間がかかる。ただ、今回、480Gバイトモデルでベンチマークテストを実施したところ、結果としてはほとんど差はなかった。ベンチマークテストの誤差に埋もれてしまう程度と考えてよさそうだ。
Vector 180は、「大容量」「データ保護」という2つの特徴を併せ持つSSDとなっている。実売価格は税別で240Gバイトモデルが2万円台前半、480Gバイトモデルが4万円弱、960Gバイトモデルは7万円台半ばだ。もちろん、メインストリーム向けの製品とは大きな価格差があるものの、ハイエンド向けで比較すれば標準的といえる。現在の実売価格はハイエンド向け250Gバイトクラスがメインストリーム向け500Gバイトクラスと同価格帯と考えていい。また、今回評価した960GBモデルは、ハイエンド向けでMLCを採用する大容量SSDが少ない状況において、NANDフラッシュメモリの信頼性を重視したいユーザーには、有力な選択肢となるはずだ。
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