Intelが「Thunderbolt 3」を発表――USB 3.1 Type-Cとの共存で延命へ【詳報】:COMPUTEX TAIPEI 2015(2/3 ページ)
新しいMacBookがコネクタをUSB-Cに集約したことで、Thunderboltの存続が危ぶまれる声もあるが、「Thunderbolt 3」はUSBコネクタとの共通化により生き残りを図る。
USBとコネクタを共通化しつつ、転送速度で差別化
USB 3.1 Type-Cはその性質上、Thunderboltのお株を奪う規格とも言えるが、なぜThunderbolt 3のような規格が存在する余地があるのだろうか?
その1つは転送速度の問題にある。USB 3.1にはGen 1(5Gbps)とGen 2(10Gbps)の2種類があるが、それでも最大で10Gbpsの転送速度だ。これは60Hzの4Kデータ転送にはやや厳しい転送帯域だと言われている。
一方でThunderbolt 3は、コネクタこそUSB 3.1 Type-Cと共通化されているものの、規格そのものは独自で最大40Gbpsの転送速度を実現しており、Thunderbolt 2の最大20Gbpsから大幅な高速化を果たした。
これなら、60Hzの4K映像をディスプレイ2枚に同時出力しても、まだUSB 3.1など別のプロトコルのデータを転送する余力がある。ケーブル1本ですべてを済ませるなら、用途にもよるが、本来は大容量転送が必要なわけで、その意味でThunderbolt 3は依然として必要とされる。
コネクタやケーブルをUSB 3.1 Type-Cと共通化したことも大きなポイントだ。見た目の形状はThunderbolt 3とUSB 3.1 Type-Cで共通なため、USB 3.1 Type-CのケーブルをThunderbolt 3対応のポートに装着すれば、そのままUSBポートとして利用できる。
一方で、対向となる接続されたデバイスがThunderbolt 3に対応していた場合、接続はUSBのプロトコルではなくThunderbolt 3のプロトコルで行われ、USB 3.1がサポートする5〜10Gbpsの転送速度ではなく、Thunderbolt 3の「Passive」版と呼ばれる20Gbpsでの接続が確立される。
さらに高速な転送速度が必要ならば、対向となるデバイスがともにThunderbolt 3に対応しているという条件で、Thunderbolt 3の「Active」版ケーブルを利用することにより、最大40Gbpsの接続が可能になる。このActive版ケーブルは、USB 3.1 Type-Cとは互換性がない。
またThunderbolt 3には光ファイバーを用いたActive版ケーブルも用意され、こちらは最大60メートルでのデバイス間接続が可能だ(通常の銅線は最大2メートル)。2016年以降を目標に提供される。
つまりThunderbolt 3は、見た目がUSB 3.1 Type-Cと共通のポートやコネクタを採用しながら、対向するデバイス同士がThunderbolt 3に対応していた場合、ケーブルを専用のものに変更することで一気に転送速度を高速化できる。
ただし、これでは紛らわしいため、Thunderbolt 3に対応したポートやケーブルには従来のThunderboltロゴが刻印される。ユーザーにとっては、これが目印になるだろう。また従来のThunderbolt周辺機器を使いたいユーザーには変換コネクタが用意されるので、これで資産をそのまま生かせる。
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