Windows Phoneの「中華フォント」問題に改善の兆し――Win10にも期待の「MADOSMA」:地図やOfficeの使い勝手は?(1/2 ページ)
無事に発売されたMADOSMAだが、Windows Phoneでは「中華フォント」を目にする機会が多い。レビュー第3回では、この中華フォント問題を始め、WebブラウザーやOffice、地図やIMEなど、Windows Phoneのアプリを中心に解説する。
6月18日に発売され、すでに多くの購入者の手元に届いていると思われるマウスコンピューターのWindows Phone「MADOSMA Q501」。ネット上でのユーザーの反応を見てみると、Windows Phoneの軽快な動きは評価しつつも、アプリの不足について不満の声が目立っている。レビューの第3回はこのアプリを中心に、MADOSMAが直面している問題を解説する。
「中華フォント」問題は解決するか
Windows Phoneで日本語環境を使う場合の問題の1つに、日本語が中国語用のフォントで表示されてしまう「中華フォント」問題がある。多くは字形が似ているため意味を理解できないほどではないものの、違和感は大きい。
Androidなど他のプラットフォームでも同様の問題はあるものの、国内向け端末の、少なくともプリインストールのアプリでは、フォントの問題はほとんど見かけることはなくなった。
この中華フォント問題について、マウスコンピューターは日本マイクロソフトと協力し、改善を進めてきたという。マイクロソフト製のアプリである「MSNニュース」や「MSN天気」といったアプリを見ると、主要な部分の表示は改善されている。
この問題はWindows Phone 8が最初にリリースされた2012年からずっと放置されてきた。その対策はそれほど難しいものではなく、アプリ開発者がソースコードに日本語環境用の1行を加えるだけで良いという、簡単なものだ。
ここで疑問に感じるのは、マイクロソフトにとっての日本市場は米国以外で最大といわれる規模であるにも関わらず、なぜこれほど単純な問題が放置されてきたのか、という点だろう。
1つの理由として、ビジネス上の重要性と、ソフトウェア開発部門が考える優先度は必ずしも連動していないことが挙げられる。また、Windows Phoneがしばらく日本で発売されなかったことも、改善を強くプッシュできなかった理由だろう。
しかし日本でMADOSMAが発売されたことで、ようやく問題の重要性が理解され、改善の兆しが見えてきた。とはいえ、Windows Phone 8のリリースから約3年という時間はあまりに長い。その間にリリースされたすべてのサードパーティアプリの開発者に、中華フォント問題への対応を呼びかけていくことは、現実的には不可能だろう。
今後、中華フォント問題はOSがWindows 10 Mobileに移行することで解決する可能性がある。Windows Phone 8.1環境における中華フォント問題は、完全には解決しないまま、次世代OSの登場を迎えることになりそうだ。
WebサイトはWindows Phoneに対応したか
Windows PhoneはWebブラウザとしてモバイル版のInternet Explorerを搭載する。これまではスマートフォン用ではなくPC用のページが表示されてしまうことも多かったが、MADOSMAが発売された時点では、主要なWebサイトで対応が進んでいるようだ。
通常、Webサイトはクライアント(Webブラウザ)からの接続のリクエストを受け取ると、そのUserAgent(UA)の値を見てレイアウトを切り替えている。しかしWindows Phoneの存在はあまり知られていなかったこともあり、対応は遅れていた。
こうした切り替え機能は、サーバのフレームワークやライブラリを利用して実現しているサイトも多い。そのため、自分のサイトがWindows PhoneではPC用ページとして見えてしまうことに、気付いていない管理者も多かった。
今後、Windows 10が採用する新ブラウザ「Microsoft Edge」では、ChromeやSafariが採用する「WebKit」エンジンとの互換性を重視し、UserAgentにもそれが反映される見込みだ。また、モバイル版のUserAgentにはAndroidバージョンを含むことにより、Androidスマートフォンと同等の表示をWebサイトに対して要求することになるだろう。
Internet Explorer以外では、MADOSMAの発売にあわせて、「Opera Mini」の新バージョンがリリースされた。標準とは異なるWebブラウザーアプリとして、試してみる価値はありそうだ。
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