コストパフォーマンスに優れる日本HPの2in1がメモリ増量でさらに使いやすく――「HP x2 210 G2 Tablet」:10.1型で約598グラム(3/3 ページ)
日本HPの「HP x2 210 G2 Tablet」は、重さが600グラムを切る法人向け小型2in1だ。Cherry Trail世代プロセッサとメモリ4GB、OSに64bit版Windows 10 Proを採用し、ビジネスの現場でもしっかり“戦える”性能を手に入れた。
ベンチマークテストでパフォーマンスをチェック
続いてベンチマークテストで性能をチェックしてみよう。ベンチマークテストの内容は以前レビューしている同社の「HP Pavilion x2 10-n000」と同じテストを行った。ただし、このモデルは現在販売しているHP Pavilion x2 10-n000と製品名は同じだが、プロセッサなどは全世代のBay Trail世代のプロセッサであるAtom Z3736Fを搭載した「10-n009TU」というモデルである点は注意して頂きたい。
まずは総合性能を計測するPCMark 8(v2.7.613)のテストを行った。家庭での一般的な利用状況を想定したHomeのスコアは「1364」、Creativeのスコアは「1513」、Workのスコアは「1111」となっている。Workだけはスプレッドシートの処理成績がやや落ちているため「10-n009TU」よりスコアが落ちてしまっているが、ほかの項目は全ての部分でBay Trail世代のプロセッサよりも良好な結果を出した。参考としてPCMark 7でもスコアを計測している。PCMark 7のスコアはOverallで2339と妥当な成績。3Dデータのレンタリング処理でプロセッサ性能を測る「CINEBENCH R15」も計測してみた。CPUで93(cb)、シングルコア時で28(cb)となった。Intel Atom x5-Z8300としては妥当な結果といえる。
さらにグラフィックス・ベンチマークで3D性能を確認した。3DMarkは執筆時点で最新バージョン2.0.2067を使用している。FireStrikeについてはハードウェア互換性がないと表示されるため計測していない。結果はIce Stormが「17881」、CloudGateでは「1556」、SkyDiverが「848」となった。Cherry Trail世代のAtomはグラフィックス性能が大幅に向上しているのがウリだ。Bay Trail世代のCPUを搭載している「10-n009TU」と比較すると大幅に良い結果が出ている。
とはいえ、こうした性能向上は旧来のAtomシリーズとしての比較した場合での話だ。ゲームタイトルベンチマークであるファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド・ベンチマークでは「標準品質(ノートPC)、解像度1280×720ピクセル)」という条件でもスコアは「988」「動作困難」。軽量級ゲームベンチであるドラゴンクエストXベンチマークソフト結果は、「低品質、解像度1280×720ピクセル」時で「1987」で「重い」となり、同じく「低品質解像度640×480ドット」設定でも「2992、やや重い」レベルである。数値的には大きく改善されてはいるが、ゲームなどの利用には適してはいない。
ストレージ回りのテストについては、CrystalDiskMark(v5.1.2)で計測した。結果はSATA接続のSSDとは比べるまでもないが、eMMC接続としては比較的良好だ。10-n009TUと比較すると全体的にスペックアップしている。特にライト性能が改善されている。搭載ストレージであるSanDisk「SDW64G」の性能がeMMC接続としては比較的良好ということになる。
バッテリー駆動時間の実測も行った。テストに使用しているのは本紙ではおなじみのbbench 1.01。無線LANで常時接続し、60秒に1回Webサイトを巡回し、10秒おきにテキスト入力を行う。Windows 10の電源プランは「バランス」で、ディスプレイの輝度は40%で固定した。結果は満充電の状態からバッテリー残量が5%になるまで6時間46分動作した。メーカー公称値の約10時間と比べると短いが、ネットに巡回接続しながら7時間近く運用できるなら不満はない。
4GBメモリで快適性が向上
10型以上の大型タブレットでは、AndroidやiOSよりもWindows搭載モデルが売れているというニュースも出ているようだ。実際、普段Windowsを利用するようなユーザーは、本製品のようにタブレットPCとしてもノートPCとしても活用できる2in1タイプの製品はとても便利だ。
本製品は日本HP製の2in1製品としては、マイナーバージョンアップ的な存在であるため、キーボードレイアウトや機能の大幅強化といったことは行われていない。しかし、機能性はこなれてきており、使い勝手にも大きな不満は少ない。Windows 10もタブレット運用に適したUIに進化してきており、Microsoft Surface登場時のような、デスクトップPCとしてもタブレットとしても使いにくいという違和感は徐々に解消している。
今回の試用機はメインメモリが4GBになっているが、この点もメリットが大きい。Webアクセスやアプリケーション利用時のレスポンスは2GBモデルよりも確実に良いのだ。コストパフォーマンスの良さも健在。メインメモリ4GBでストレージ容量64GB、Windows 10 Proがインストールされて送料や税込合計金額で5万6160円というキャンペーン価格は個人向け製品として販売されている「10-n100」よりお買い得度は高い。低予算で実用的な2in1タイプの製品を求めている人にはおすすめしたい製品といえる。
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