Microsoftは純正スマホ「Lumia」をやめてしまうのか?:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
フィーチャーフォン事業の売却を発表した米Microsoft。この売却は同社のスマートフォン事業にも影響を与えるのだろうか。
Microsoftは本当にスマートフォンの端末事業から撤退するのか
しかし、1点だけ確実なことがある。それは「Windows 10 Mobileからの撤退は当面ない」ということだ。
Microsoftは戦略上のピースとしてモバイル向けOSが必要であり、今後エンタープライズをターゲットにする以上、相応の期間の「OS開発を継続します」というコミットが重要となる。特に小型で安価なWindowsタブレット市場に赤信号がともっている今、この部分にWindows 10 Mobileのタブレット製品を充ててくる可能性が高いとみられ、OSシェアが減少しつつある中でも、Windows 10 Mobileの提供は続けていくだろう。
問題はMicrosoftとしてスマートフォンの端末事業を続けていくかどうかだが、これは2パターン考えられる。1つは、現行のLumia 950/950XL/650を最後にシリーズを終息させるか、あるいは後継モデルを用意しつつ、徐々にフェードアウトしていく方向性だ。もう1つは、失敗として認識されつつあるLumiaとは別のブランドを立ち上げ、そちらで再始動するというアイデアだ。
まず後者については、当のコラムを執筆したサーロット氏がうわさの「Surface Phone」に触れ、「MicrosoftはSurfaceブランドを失敗で傷つけるのを極度に恐れている」と指摘している。仮にSurface Phoneが本当に登場したとして、現在のモバイル市場を見る限り、既存のWindows 10 Mobileのまま一定の成功を収める可能性は低いと考えており、Lumiaをそのまま置き換えての投入は難しいだろう。むしろ現状ではHPを含むサードパーティー製品をマーケティング的に全面支援したほうが効果的だ。
製品名がSurface Phoneかは不明だが、Lumiaのようなスマートフォン端末の開発が今後も継続するかについては意見が分かれている。サーロット氏はLumiaの終了を見込んでいるようだ(代わりに、2in1型のデバイスが登場する可能性を示唆している)。
一方、米ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏は、Microsoftでデバイス開発を主導するパノス・パナイ氏が今もなお携帯の新端末や新しい種類のデバイスの開発に取り組んでいるという内部情報を紹介している。この情報で疑問に思うのは、仮にMicrosoftがスマートフォンのような新デバイスを開発していたとして、どのような市場をターゲットに、どのようなアピールを行うのかという点だ。
もはやMicrosoft自身がスマートフォン端末を開発しても、ビジネス面に大きな影響を与える売上を期待するのは難しい。恐らくは「Windows 10 Mobileで新たにサポートされたソフトウェア的な新機能」をアピールするための材料となる部分が大きいだろう。
既にサードパーティーの数が出そろっている今、デバイスの開発自体はサードパーティー側がけん引していると言える。前述の3つのカテゴリにおけるフラッグシップ端末を自ら開発するというよりは、「特定の機能アピール」を狙った側面が強いだろう。また現在のMicrosoftがWindows 10 Mobileでエンタープライズに注力しつつあることを考えれば、セキュリティなどを強調したビジネス向けの製品である可能性が高いと予想する。
いずれにせよ、MicrosoftがWindows 10 Mobileの分野で投入する新デバイス製品は最速でも2016年末に近い時期とみられる。それまではゆっくりと同社やサードパーティーの動向に注視したい。
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