薄型コンパクト設計のミニワークステーション! 「HP Z2 Mini G3 Workstation」を試す(3/3 ページ)
日本HPの「HP Z2 Mini G3 Workstation」は、高さが5.8cm、幅・奥行きが21.6mmという非常にコンパクトなワークステーションだ。コンパクトでも、性能に「妥協」の文字はない。
コンパクトでもパワフルさを感じるパフォーマンス
では、ベンチマークテストで性能を確認しよう。先述の通り、今回の評価機は試作機ゆえに製品版とはCPUが異なるが、スペック的には近似しているので参考にはなるはずだ。
テスト時は、4K(3840×2160ピクセル)のシングルモニター出力でテストを実施している。
まず、「CINEBENCH R15.0」でCPU性能を調べてみた。結果はマルチコアで819、シングルコアで172となった。CPUの性能をしっかり発揮出来ており、放熱性能などに不安がないことがわかる。
次に「CrystalDiskMark 5.2.0」でNVMe SSDのパフォーマンスを測定してみた。Q32T1(32キュー・1スレッド)設定のシーケンシャル(連続)リードは3126MB/秒、シーケンシャルライトは1528MB/秒という結果だった。ランダム(非連続)リード/ライトの性能も一般的なSSDとは一線を画している。NVMe SSDの持つパフォーマンスをしっかりと生かせているといえるだろう。
この製品は一般向けあるいはゲーム向けの製品ではないが、一般的なベンチマークテストや3D描画性能のテストも行った。
一般的なPCの各種性能をベンチーマークでくる「PCMark 8」のHome Accelerated 3.0は3786、Creative Accelerated 3.0は4841というスコアとなった。
次に、ゲームで用いる3D性能をチェックする「3DMark」と、実際の3Dゲームにもとづくベンチマークとして「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」を実施した。Z2 Mini G3 Workstationが搭載するQuadro M620は「GeForce GTX760Mより少し下くらい」のスペックとなっているが、ベンチマーク結果も全体的にはその通りの結果となっている。
プロ用3Dエンジニアリングツールのパフォーマンスをベンチマークする「SPECviewperf 12」も試してみた。ビューボードの描画パフォーマンスを計測する内容だが、筆者が過去にレビューした前世代の「Quadro K2100M」を搭載したモバイルワークステーションのスコアと比べると平均して1.6倍以上になっている。参考としてQuadro M620と同世代のアーキテクチャを採用する「GeForce GTX970」を搭載したPCのベンチマーク結果も掲載するが、GTX970を上回るスコアをマークしている項目もある。
動作音も静粛な部類に入るといってよいだろう。アイドル時低負荷時は動作していることがわかる程度の動作音で、高負荷時も目立って大きくなることはなかった。室温22℃・暗騒音30dBの部屋において、本体正面15cmから騒音を計測したところ、以下のような結果となった。
- アイドル時:34.9dB
- 低負荷時:34.9dB
- 高負荷時(3DMarkのFireStrikeテスト実行時):38.8dB
- 高負荷時(CINEBENCH実行時):38.1dB
生産性、ワークスタイルに劇的な変化をもたらすミニワークステーション
プロユースのデザイン、エンジニアリングツールで制作されるコンテンツはデータ量も大きく、グラフィックスが正しくスムースに再現される必要もある。そのことから、社内会議や営業先でプレゼンテーションをする際に、タワー型ワークステーションをワゴンに載せて持ち運ぶ、という話を耳にすることがある。近年はワークステーションにもさまざまな選択肢があるとはいえ、耐用年数を考えるとこのような状況にある現場も少なくないだろう。
この製品のように、移動が容易なミニサイズのワークステーションがあれば、こうした現場における生産性を劇的に変えることができる。持ち運びという観点では、モバイルワークステーションといううってつけな形態もあるが、この製品の処理性能や描画性能はモバイルワークステーションより上ので、ディスプレイの選択も自由であるため、プレゼン用途に限定せず、より本格的なレベルで制作にも活用できることだろう。
省スペースで静音性にも優れているため、オフィスの環境も大きく変えることができる。個人宅にも無理なく置けるため、自宅で作業するテレワークといったことも現実的に考えられる。
HP Z2 Mini G3 Workstationは、通信インフラの整備、関連技術の進歩や社会の変化により多様化するワークスタイルに対応できる製品、そして、自身の存在が現場のワークスタイルを変えうる製品でもあるといえる。ワークステーションの新規導入、あるいはリプレースを検討しているならば、見逃せない製品だろう。
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