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Amazon快進撃を支えるジェフ・ベゾスCEOの長期的展望ITはみ出しコラム

書籍のネット販売から始まったAmazon.com。現在の快進撃のバックボーンには、ジェフ・ベゾスCEOの「顧客第一主義」と「長期的展望」があります。

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 米Amazon.comが立て続けに面白いサービスを(米国で)開始しています。試着して気に入った服だけを買える通販とか、Amazonアプリ内だけで使う購入ボタン付きInstagram的なサービスとか、お宝満載トラックでの移動販売とか。いずれも、買い物を楽しくするものばかりです。

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トラックでの訪問販売を米国でスタートする米Amazon.com
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ジェフ・ベゾスさん近影(同氏のTwitterより)

 そのバックボーンには、創業CEOであるジェフ・ベゾスさん(53)の「顧客第一主義」と「長期的展望」があります。ベゾスさんは1994年に今も本社があるシアトルで起業。最初は書籍のインターネット通販会社でしたが、立ち上げ当初からAmazonを何でも買える「エブリシングストア」にしようと思っていたそうです。

 『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』(日経BP)という書籍にベゾスさん自身の言葉として、「われわれは正真正銘、顧客第一ですし、正真正銘、長期的です。また、正真正銘、創意工夫を重視しています」と記されています。ベゾスさんは、この3つの要素を全て備えている企業はほとんどないとも言ってます。

 AmazonのAIアシスタント「Alexa」を搭載した「Amazon Echo」はすごく分かりやすい例です。2014年に発表したときには、創意工夫はあるけれど、果たして受け入れられるだろうか? と思ったものですが、今ではGoogleもMicrosoftも、Appleでさえも後追いするカテゴリーとなりました。こうなるまでに3年かかりました。目先の利益を追っていては、こういうことはできません。

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AIアシスタント搭載スピーカーの先駆けとなった「Amazon Echo」

 2013年に発表したドローン配送「Prime Air」構想も、発表当時「実現には4〜5年かかるだろう」と語ってました。今も地道に当局に働きかけたり、実験を繰り返したりしています。

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ドローンでの配送サービス「Prime Air」

 ベゾスさんは、長期的展望で自分自身の改革も続けているように見えます。

 今どきのIT系偉い人には珍しく、これまでは表立った慈善事業をしていませんでした。それが6月にTwitterで「私がこれまで自分の時間を費やしてきた長期的視野に立つ取り組みとは対局にあるフィランソロピー(社会貢献、というような意味)戦略を考えている」とツイートし、効果的なチャリティのアイデアを募集したのです。

 そもそもSNSを使うようになったのはわりと最近です。Twitterには2008年に登録していますが、ツイートを始めたのは2000年に立ち上げた宇宙企業Blue Originがロケットの発射、帰還を初めて成功させた2015年11月でした。

 それからはコンスタントにツイートしています。攻撃的な性格で批判されることも多い人ですが、ツイートを炎上させるようなこともなく、なかなかうまく使いこなしているようです。

 ベゾスさんは2016年のCode Conferenceで、批判され続ける公人は面の皮を厚くするしかないと語っています。印象的だったのは、「誰かが書いた批判でとても傷ついたら、街角に立って道行く人々を眺めるといい。誰もあなたのことなんか考えていないのが分かるから」と語ったことです(動画の26分目くらい)。ベゾスさんもいろいろ傷ついて、シアトルの街角でそうしていたのかなぁと思いました。

Code Conferenceで語るジェフ・ベゾスさん

 先日はついにInstagramのアカウントも開設し、最初の動画投稿もしました。「最近なんだかマッチョになってない?」という揶揄(やゆ)を踏まえた、ちょっとおちゃめな動画です。

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Instagramより

 ベゾスさん、かつてインタビューで「企業の命は短いものだ。Amazonもいつの日か崩壊する」と語っていますが、まだまだ面白いことを続けてほしいものです。

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