「iOS 12」で変わること、iOSとmacOSの関係は? WWDC 2018現地レポート(2/2 ページ)
WWDC 2018の基調講演では、OSの着実な進化に焦点が当てられていた。どちらかというと、ユーザーの使い勝手を向上させる取り組みが多かった印象だ。iOSとmacOSを統合するのかというウワサに対しては、明確に否定した。
「ARKit 2」にバージョンアップ
ユーザー向けの新機能が多かったiOSのアップデートだが、デベロッパーにとっても重要な進化があった。中でも大きいのがARKitだ。ARKitは「ARKit 2」へとバージョンが上がり、顔のトラッキングや、複数ユーザーでのAR共有が可能になる。これによって、ARを活用した対戦ゲームアプリも実現する。Pixarが開発したARのファイルフォーマット「USDZ」にも対応。メッセージやSafari、メールなどでも、ARを活用できるようになる。さらに、Apple自身のアプリとして、カメラに映し出した物体のサイズを測定する「Measure」も導入される。
AppleWatchの新機能
Watch OSについても、ユーザーインタフェースが刷新されたWatch OS 3や、Apple Musicに対応したWatch OS 4と比較すると、着実な機能の底上げが目立った印象だ。目玉になりそうなのが、「Walkie-Talkie」。Walkie-Talkieとは英語圏で「トランシーバー」を指す言葉だが、その名の通り、片方向の通話を繰り返すことでコミュニケーションを取れる機能となる。
先に挙げたSiriのShortcutsはWatch OS 5も対応。ワークアウト中に友人と成果を共有して競えるようになるなど、Apple Watchが得意とするスポーツ分野の機能も強化されている。ワークアウトの自動検出が行えるようになる他、ヨガやハイキングといった新たなワークアウトにも対応する。
これまで、Apple Watchではメールが送られてきても、リンク先のサイトなどを見ることができなかったが、Watch OS 5ではこの機能も追加されている。Safariのようなブラウザがアプリとして搭載されるわけではないが、Apple Watchに届いたメールなどからより深い情報を確認できるようになるのは便利。iPhoneを取り出さなければならないシーンも減りそうだ。
iOSとmacOSは統合しない
この他、Apple TVはtvOS 12で臨場感あふれるサウンドが楽しめるDolby Atmosに対応。Dolby VisionとDolby Atmos両対応のセットトップボックスに進化を遂げる。Mac OSはメジャーアップデートとして「macOS Mojave(モハーヴェ)」が発表された。macOS Mojaveでは、黒を基調としたユーザーインタフェースの「ダークモード」が用意されることを発表。「ソースコードやインタフェースビルダーが、ものすごくかっこよく見える」というフェデリギ氏の発言には、会場に集う開発者から喝采が上がった。
macOS Mojaveの発表に際し、フェデリギ氏は「iOSとmacOSを統合するのかという質問が出ているが……」と自らウワサに触れつつ、これを全否定した。代わりに発表したのが、Mac用アプリのAppKitとiOS用アプリのUIKitを融合させる取り組み。まずはApple自身がこの仕組みを使って、ボイスメモやApple Newsといった自社アプリをMacに移植していく。開発者は、「来年(2019年)にこれが使えるようになる」(同)見込みだ。OS自体は2つを並走させていく一方で、iOSの豊富なアプリをMacに取り込んでいくというのがAppleの方針といえる。
関連記事
- 「iOS 12」発表 パフォーマンスの改善、自分の顔をアニ文字化、Siriのショートカットなど
Appleが「WWDC 2018」で「iOS 12」を発表。一般向けには2018年秋リリースする。パフォーマンスの改善、自分の顔でアニ文字を作成できる「Memoji」、Siriのショートカット機能、写真アプリの「For You」機能などが主なトピック。 - 「iOS 12」は「iPhone 5s」も対応 これで最長6年間は“現役”に
Appleが開発者向けカンファレンス「WWDC 2018」で「iOS 12」を発表。今回は対応機種から「iPhone 5s」が外れるかと思いきや、5sはiOS 12も対応している。5sは5回のOSバージョンアップが可能になる。 - なぜAppleは「iOSとmacOSを統合しない」と断言したのか WWDC 2018現地レポート
毎年恒例の米Apple開発者会議「WWDC 2018」が開催。一部で期待された新ハードウェアの発表はなかったものの、今後のmacOSとiOSについて注目すべきトピックがあった。現地からレポートする。 - Appleが「watchOS 5」を今秋公開 ワークアウト機能や通知機能を強化 トランシーバー機能も追加
Apple WatchのOS「watch OS」が2018年秋にバージョンアップする。ワークアウト機能や通知機能の強化が行われる他、トランシーバー通話できる機能なども追加される。 - iOS 11では32bitアプリが動かず タイトーはゲームアプリ5つを配信終了に
iOS 11にアップデートすると32bitアプリは動作しなくなるので注意したい。タイトーは5つのゲームアプリの配信を終了する。よく使うアプリがiOS 11に対応しているかも確認したい。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.