カメラの進化が楽しさと使い勝手を跳躍させる――iPhone 11/11 Proレビュー:林信行が新iPhoneに潜む魅力のタネをチェック(2/4 ページ)
9月20日にAppleから発売される新型iPhoneを、林信行氏が徹底レビュー。すぐ分かる魅力、じっくりと使い込むと分かる魅力などを細かくチェックした。
暗闇はiPhone写真の新しいフロンティア
先の動画では、これまでのiPhoneでは撮影できなかったもう1つの世界も紹介している。ナイトモード機能だ。
iPhone 11や11 Proシリーズでは、暗い場所で撮影すると自動的にナイトモード機能がオンになる。広角レンズまたは(iPhone 11 Proシリーズの)望遠レンズ機能でだけ利用できる。
これらのモデルで暗い場所の写真を撮影しようとすると、面左上に黄色い三日月マークが現れるが、これはナイトモードがオンになった証拠だ。この状態で写真を撮影するとシャッターがしばらく開いたままで、画面下にシャッターを閉じるまでのタイマーが現れる。その間、じっとしていると暗かった画面に光が重ねられ、だんだんと明るい像が浮かび上がってくるさまが確認できる。
逆にこのタイマーを操作してシャッター時間を撮影者が自在に変更することもでき、タイマーをゼロにすることでナイトモードをオフにすることもできる。ちなみに動画を見てもらえば分かるが、ナイトモードをオフにしても、そこそこきれいな画像が撮れる。
シャッターを開けっぱなしのナイトモード、手持ち撮影でも大丈夫か心配だったが、手振れ補正機能のおかげか、手持ちでも驚くほどきれいに撮れることが多い(筆者の場合は日ごろの訓練のたまものが少しあるかもしれない)。
シャッターの開放時間として選べるのは10秒までだが、iPhoneを三脚などに固定すると、それを認識して最大30秒まで選択可能になる。
暗い場所が驚くほど明るく鮮やかに写ることに驚かされるが、それでいて空の様子や影などから、ちゃんと暗い場所での撮影だと分かるニュアンスを残す自然な味付けなどが実にいい感じだ。
iPhone 11 Proでナイトモード・オフの状態で撮影。ナイトモードを使わない状態でも、iPhone 11 Proの方が圧倒的にきれいに撮影できていることが分かるが、それにナイトモードが加わると暗闇での表現力が全く変わることが実感できる
さらに楽しく進化したポートレートとセルフィー撮影
2つ以上のレンズを持ったiPhone(とiPhone XR)と言えば、背景をきれいにボカしてくれるポートレート撮影モードも楽しみの1つだが、このポートレート撮影も大きく進化している。
ポートレート撮影機能のうち輪郭強調など1部の機能はこれまで人に対してしか適用できなかったが、新たに犬猫などのペットを美しく撮ることもできるようになったという(残念ながら時間内に試せなかった)。
さらに新たに人物をきれいに切り抜いた上で背景を白くするハイキーというモードが加わったが、これがかなりいい感じに人物を描き出す(ちなみに複数人でも大丈夫だ)。
これだけでも十分うれしいが、新iPhoneでは広角レンズでのポートレート撮影に対応した。これまでのポートレート撮影では、望遠レンズを使って距離2.5mから撮る、かなり被写体に寄った状態での撮影しかできなかったが、新たに超広角レンズが加わったことを生かし、もっと背景をたくさんいれた引きの状態でのポートレート撮影もできるようになった。これはボカしながらもたっぷりめに背景を入れたい場合などに最適だろう。
つまり、ついに標準モデルのiPhone 11にも光学的なポートレート撮影モードがついたことを意味する(レンズが1つのiPhone XRは、AIの画像認識の力に頼った人物撮影だけに有効なポートレートモードになっていた)。
人物撮影といえば最近、他の人を写す以上にインカメラ(AppleはTrueDepthカメラと呼んでいる)を使ったセルフィー(自撮り)をする人が世界的に増えているが、この自撮り用カメラも、より広い範囲が写る広角での撮影に対応している。
これまで、せっかく名所旧跡にいっても写る範囲が狭いために、窮屈な画角(写る範囲)の中に無理矢理名所を潜り込ませていた人も、iPhone 11/11 Proからはゆとりを持って写り込ますことができる。
また最近ではTikTokなどにセルフィー動画を投稿する人も増えているが、動画表現の幅を広げるべく、新たに自撮りカメラにもスローモーション撮影の機能が加わっている。
この記事では紙幅が足りず、十分な検証もできなかったので割愛するが、iPhone 11/11 Proによる4K 60fpsの動画撮影もかなり美しい。特に超広角での動画撮影は、スマホ映像の新境地を切り開くような楽しさがある。
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