カメラの進化が楽しさと使い勝手を跳躍させる――iPhone 11/11 Proレビュー:林信行が新iPhoneに潜む魅力のタネをチェック(3/4 ページ)
9月20日にAppleから発売される新型iPhoneを、林信行氏が徹底レビュー。すぐ分かる魅力、じっくりと使い込むと分かる魅力などを細かくチェックした。
プロセッサや通信機能も、じわじわと魅力を発揮
この辺りで、カメラ以外の進化にも目を向けてみよう。まずはCPUだ。Appleによれば、今でもスマートフォン用のプロセッサとしては2018年モデルのiPhone XR/XSが搭載するA12 Bionicが業界最速だという。
しかし、今では自らプロセッサ開発をするようになったAppleは1年の間に、さらに20%高速になったA13 Bionicを開発。iPhone 11/11 Proシリーズはこれを搭載している。
実際にGeekbenchというテストアプリの最新版Geekbench 5で計測したスコアは1337で、iPhone XSの1114と比べて確かに20%増しになっていた。
ただし、だからといってiPhoneの操作性が心地よさを無視して過剰に反応が良くなったりすることもないので、プロセッサ性能の向上は今後、これらをグラフィックス表現に生かしたゲームなどが出てきたり、かなり高度で負荷がかかる機械学習やARアプリが登場したり、過去のiPhoneでは動きがぎこちないのを見て初めてその恩恵を感じる形になり、購入者としてメリットを実感するのは難しい側面だが、1つはっきりと分かるメリットがある。
それはバッテリー動作時間の向上だ。iPhone 11のバッテリー動作時間はiPhone XRと比べて1時間向上した。この違いは正直、使っているアプリなどの影響も受けるし、なかなか実感がしづらい。しかし、iPhone 11 ProがiPhone Xsに比べて4時間も動作時間が延び、iPhone 11 Pro Maxに至ってはiPhone XS Maxと比べて5時間も動作時間が延びた、というのは流石に使っていても分かる。
そうは言ってもバッテリーが持てば、持った分だけ使うという人は結局、丸一日持たないことがあるかもしれない。しかし、意識してスマホの使い過ぎを自制している人なら1日の終わりに十分の余剰バッテリーを感じるほどの動作時間に進化していて、これはうれしい。
スピードで言えば、Wi-FiもWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応し最大で38%高速化しているし、LTEも高速化している。これらも今後、基地局側が整備されることでじわじわと効いてくる高速化だろう。
だが、それ以上にはっきりとメリットを実感できるのはiPhone XS/XRから引き継いだ機能だが、eSIMを搭載していることだ。端末だけを購入してもオンラインサインアップで世界の主要国で、その国の通信プランを購入追加できることや、まもなくリリースされるiOSのアップデートで新搭載のU1チップを使い、iPhone 11/11 Pro同士であれば、AirDropの際に、自分が向いている方向の人が最優先で表示される機能などかもしれない。
このU1チップについては前の記事でも書いたが、UWB(超広帯域無線)という技術を提供するものだ。屋内でのiPhoneの位置や向きを数cm程度の精度で認識できる。忘れ物防止タグとの連携や精密なARなどへの応用が期待でき、今後、これまでになかったジャンルのアプリやIoTが、まずはiPhone用として登場する未来を期待させてくれる。
こんな風にiPhone 11、11 Proは購入した後も、かなり楽しみなiPhoneとなっている。
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