そのSSDやSDメモリーカードは大丈夫?――データ復旧会社から見る容量偽装の今:基板まで作る、町の電気店で売る(2/2 ページ)
容量を偽る“詐欺ストレージ”は、昔からちょくちょく物議を醸してきた。現在も根絶されていないどころか、バリエーションが増えてきているようだ。データ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」に届いた容量偽装ストレージから、今を読み解く。
続々と届く偽装被害。防ぐにはどうすればいい?
そうした新規の詐欺が目立つ一方で、昔ながらの典型パターンをなぞった容量偽造ストレージも相変わらず入庫してくるという。その中でも印象的だった事例を2つ紹介したい。
2019年8月、偽装領域に“保存”された卒園式の動画
2019年8月、「子どもの運動会と卒園式の動画が保存されていない」と128GBのmicroSDXCカードが持ち込まれた。ビデオカメラにセットして子供の行事を撮影してきたが、PCで再生しようとカードを差し替えたところ、「フォトギャラリーでこの写真またはビデオを開けません。ファイルがサポートされていない、破損している、または壊れている可能性があります」というメッセージが表示されて先に進めないという。購入時期と購入元は不明とのこと。
調べてみたところ、実際は32GB以下の容量しかないと判明。最初の頃に保存した動画は取り出せる可能性があるが、卒園式など後半の行事の映像に関しては絶望的な状況だった。希望のデータは復旧できないと伝えるしかなかった。
2019年8月、新品の500GB HDDから謎の家族写真が……
依頼者からの持ち込み以外にも、同社は交換用部品として日常的にストレージを購入しているが、そこで偽装品に出合うこともある。
2019年8月、ECサイトで新品の500GB HDDを15台購入したところ、全て封が切られた状態だったという。SMART情報が書き換えられており、起動回数や稼働時間は0となっているが、15台中12台にデータが残存していた。
中身を調べると、外国語の履歴書や家族写真の他、海外字幕付きの日本のアニメ映像や企業情報らしきデータ、何かの設計図も見つかった。ドライブには「XX年X月X日補修」といったシールも貼ってあったそうだ。
商品ページはECサイトに登録している他の店舗と共通のものとなるため、個別に警戒することはできない。1台あたりの購入金額は5000円弱で、相場と比較しても飛び抜けて安いわけでもなく、実物を見るまでは気付けなかったと振り返る。
被害に遭わないために
こうした偽装ストレージの被害を回避するには、どのようにすればいいのだろうか。
嘉藤氏は「通販サイトやフリマアプリで、市場価格より極端に安かったり、メーカー名等の記載がなかったりするものは警戒した方がいいです。流通経路の信頼性の高い量販店や専門店で買うのも有効だと思います」という。
それでも、これまで見てきたように防ぎ切れないケースはあるので、購入後の使い方にも注意を払いたい。
下里氏は「被害を小さくするには、保存したデータをこまめに確認する習慣をつけることが一番ではないかと思います。なるべく早めに異変や異常に気付くように使っていれば、保存したはずの何年分かのデータを一気に失うといったことは避けられますから」とアドバイスする。
ひとまずは、手持ちの外付けHDDやmicroSDカードの中身をチェックしてみるのはいかがだろう? ずっと使っているから安心と思いつつ、保存したものを見たことがないというのは、怖い状況なのかもしれない。
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