連載
Windows+Snapdragonが飛び立つ日:Windowsフロントライン(3/3 ページ)
Qualcommが「Snapdragon Tech Summit 2019」を開催した。そこで明らかにされた新SoCによって、Windows on Snapdragonはどのように羽ばたいていくのだろうか。
普及に向けてラインアップを拡張
Windows on Snapdragonが普及しないもう1つの理由に「ラインアップの不足」があると考える。前述の通り、現状での選択肢はSnapdragon 850か8cxであり、基本的にはハイエンド1種類に限られる。
だが、PC販売店を訪れれば分かるように、売れ筋モデルの多くは普及価格帯の製品だ。今回、Qualcommは「8c」と「7c」という2つのSoCを新たにPC向けのラインアップに追加し、ボリュームゾーンの拡大を図った。8cについては8cxとほぼ同様の機能構成で、CPUの駆動クロック周波数が若干下げられていたり、メモリインタフェースが簡略化されていたりする程度で、「8cxほどの機能は必要ないが、(845がベースとなっている)850よりは高速動作」という位置付けになる。
対する7cは普及価格帯への投入を狙ったもので、同社の位置付けでは「エントリーモデル」に属する。SoCのサイズからも分かるように価格面での差別化が図られた戦略製品で、8cが7〜10万円程度のレンジだとすれば、7cは5万円前後のレンジを狙う製品となる。日本でも7cのターゲットとする価格レンジにMicrosoft Officeなどのアプリケーションを付けたPCが比較的売れている現状を考えれば、ようやく普及に向けて大きなステップを踏み始めたといえるのかもしれない。
(取材協力:クアルコムジャパン)
関連記事
- Surface Pro XとSurface Laptop 3にみる、MicrosoftがSnapdragonとAMDプロセッサを採用した理由
Microsoftが発表した新モデル「Surface Pro X」と「Surface Laptop 3」。それらに搭載されるプロセッサから、ぶれないMicrosoftのハードウェア思想を見ていく。 - Arm版Windowsがパワフルに動く「Snapdragon 8cx」で「Windows on Snapdragon」は離陸するか
12月にハワイで開催された米Qualcommの「Snapdragon Tech Summit 2018」において登場したのが、PC向けSoCの最新版「Snapdragon 8cx」だ。この情報を含め、Windows+Armのエコシステムに関する最新情報をお届けする。 - 2019年に「Windows on Snapdragon」が離陸すると考えられる2つの理由
Qualcommのイベント「Snapdragon Tech Summit 2018」を目前に控えた今、うわさされる次世代Snapdragonや「Chrome on ARM Windows」といった話題から、「Windows on Snapdragon」の2019年を占ってみよう。 - 2019年は「Windows on Snapdragon」のリブートに期待?
何かと話題を集めた「Windows on Snapdragon」が、正式リリースから1年たとうとしている。Always Connected PCの現状を見ていこう。 - MicrosoftがSamsungとスマホ連携でタッグ Windows 10 Mobile後の生存戦略
Microsoftのサティア・ナデラCEOが、Samsungの新製品発表会に登場。発表された「Galaxy Note10」とWindowsとの連携をアピールしました。スマホ市場を攻略するためのWindows 10 Mobileを失ったMicrosoftは、Samsungとの提携強化という道を選びました。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.