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2019年になぜ「スマホからPCへの回帰」が現れ始めたのか:本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/3 ページ)
PCからスマートフォンへのシフトが叫ばれて久しいが、海外では若い世代のPC回帰がみられるという。この動きの本質は、来年以降のテック市場の行く末を示唆している。それはいわゆる「モノ」から「コト」への変化だが、モノの価値が落ちるわけではないことにも注目だ。
PCの役割はまた増していくのか
モノからコトへと消費者の求める価値が変化することで、逆説的だがPCの価値は高まるだろうと予想している。
昨年末のコラムでは、久々に新しい「MacBook Pro」を購入したと書いたが、今年は早速「もっとパワフルなMac、PCが欲しい」と思うようになった。理由はZ世代の子たちと同じだ。動画や音楽、写真に触れることが多くなり、またそのデータ量も飛躍的に大きくなっているからだ。
デジタルワールドを取り巻くさまざまなデバイスの性能が上がり、またネットワークに発信する情報もリッチになってきたことで、以前のように「もっとパワフルなPC」が恋しくなっている。
個人的にYouTubeでの発信を始め、書いた記事や評価した製品を紹介する機会が増えたことも理由の一つだ。長年、テキストばかりを扱ってきた筆者が、動画を扱い始めたのだから時代も変わったものだ。
つまり、消費者の興味も、またこれから5Gが起こすだろう変革に関しても、モノではなくコトへと価値の捉え方は遷移していくくだろうが、一方でその「価値創出に深く関わるための道具として、デジタルデバイスの再評価も進む」ということだと思う。
PC世代のひいき目かもしれないが、新しい時代はPCの価値を再び再認識させる結果を生むかもしれない。
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