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4コアながら侮れない 第3世代Ryzen待望のエントリーモデル「Ryzen 3 3100」「Ryzen 3 3300X」を試す(2/3 ページ)

5月23日に発売される「Ryzen 3 3100」「Ryzen 3 3300X」は、コストパフォーマンスに優れる第3世代Ryzenプロセッサ待望のエントリーモデルだ。発売に先だって、その実力を確かめる。

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4コア8スレッドでも侮れないパフォーマンス

 ここからは、実際にRyzen 3 3100/3300Xのパフォーマンスをベンチマークテストを通して確認していく。

 今回の「レビューキット(テスト用機材のセット)」はCPUのみで、手持ちの「AMD X570」チップセットを備えるマザーボードを使ってテストを行った。CPUクーラーは両CPUに付属するWraith Stealthをそのまま使い、GPUはAMDの「Radeon RX 5700 XT」を組み合わせている。

仕様
今回レビューに用いた機材の構成

CINEBENCH R15/R20

 まずは、CPUを使ったレンダリング性能を計測する定番ベンチマークアプリ「CINEBENCH R15」「CINEBENCH R20」の結果を見てみよう。

 第3世代Ryzenプロセッサは、IPC(クロック当たりの命令実行数)を向上させるなどの改善を通して前世代から処理性能を大きく伸ばしている。このことは当然、Ryzen 3 3100/3300Xにも当てはまる。4コア8スレッドCPUながら、マルチ、シングルの両方において良好なスコアを残している。

 CINEBENCH R15で見ると、Ryzen 3 3100はマルチスコアが981cb、シングルスコアが180cbとなった。一方、Ryzen 3 3300Xはマルチスコアが1106cb、シングルスコアが202cbとなった。

 過去のベンチマーク結果を見る限り、Ryzen 3 3300Xは前世代までのミドルレンジCPU「Ryzen 5 2600」と大差なく、競合であるIntelの6コアCPUをしのぐスコアを記録している。コア数は控えめながら、侮れないパフォーマンスを発揮することが伺える。

 Ryzen 3 3100とRyzen 3 3300Xで比べると、マルチはともかく、シングルCPUのスコアで予想以上に差が付いたことは気になる。

CINEBENCH R15
CINEBENCH R15の結果。Ryzen 3 3100とRyzen 3 3300XでシングルCPU時のスコアに差が出ていることは気になる

 コア数がより多いCPU向けに最適化されたCINEBENCH R20でも、スコア自体の傾向は大きく変わらない。特にRyzen 3 3300Xのシングルスレッド性能の高さは注目に値する。DirectX 11以前のAPIを活用したPCゲームなど、シングルスレッド性能の高さが処理パフォーマンスの差に直結する場面では、低価格ながら有力な選択肢となるだろう。

 ちなみに高負荷時の全コアクロックは、Ryzen 3 3100で3.8GHz前後、Ryzen 3 3300Xで4.1GHz前後だった。CINEBENCH R20を複数回連続実行した場合のTdie温度(ダイの実温度)は、Ryzen 3 3100で73度前後、Ryzen 3 3300Xで78度前後だった。付属のWraith Stealthでも問題なく冷やしきれそうだが、冷却性能に余裕を持たせたいなら、CPUクーラーを別途用意してもいいだろう。

CINEBENCH R20
CINEBENCH R20の結果。計測値の傾向はR15と同様だ

V-Ray NEXT Benchmark

 続いて、同じくレンダリング系のベンチマークソフトである「V-Ray NEXT Benchmark」の結果を見てみよう。

 こちらも独自のスコアで結果が算出されるテストで、Ryzen 3 3100は6329ksamples、Ryzen 3 3300Xは7420ksamplesという数値が出た。15%ほどの少なくない差が出ている。

 先ほどのCIENBENCHのマルチCPUテストにおけるスコアでは、Ryzen 3 3100とRyzen 3 3300Xとのスコアの開きは11〜12%ほど。「誤差」と言うには、パフォーマンスの隔たりはやや大きい。

 Ryzen 3 3100とRyzen 3 3300Xのどちらを買うか検討する際は、性能と価格のバランスをしっかり吟味することをおすすめしたい。

V-Ray NEXT Benchmark
V-Ray NEXT Benchmarkの計測結果

PCMark 10(Extended)

 引き続き、PCの総合的な性能を計測するベンチマークソフト「PCMark 10」を使って総合的なパフォーマンスを確認してみる。今回は全てのテストグループを実行する「Extended」を利用している。

 今回のベンチマークテストでは、CPU以外のパーツ構成は同一としているが、Ryzen 3 3100とRyzen 3 3300Xで総合スコアにおいて9%の差が出た。どちらの結果も4コアCPUとしては悪くはないが、同じ“4コア8スレッドCPU”と考えると、やはりRyzen 3 3300Xの優秀さが目立つ。

 どのテストグループでも、総じてRyzen 3 3300Xのスコアは明確に高い。ビジネスアプリの起動や立ち上げに関するテストはもちろん、同じGPUを使用しているはずの「Gaming」テストでも、それなりに目立つスコア差が生じている。この傾向は、後述するゲーム系ベンチマークでも同様だ。

 単に動作クロックのみを調整したCPUを比較した場合、ベンチマークのスコアに大差がないことはままあることだ。しかし、Ryzen 3 3100とRyzen 3 3300Xとの比較では、CCXの構成の違いがパフォーマンスに差をもたらしていると考えてよいだろう。

PCMark 10
PCMark 10の結果(Digitalは「Digital Content Creation」を指す)

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