高品質・高コスパ・定番の三冠を狙う液タブ「Artist 24 Pro」をrefeia先生が試したよ!:XP-Penの野望(1/3 ページ)
XP-Penが、税込み10万円の液タブ「Artist 24 Pro」を投入。従来モデルと何が変わったのか、競合モデルとの差は? 人気イラストレーターが触って下したジャッジは?
こんにちは! refeiaです。
今回は、液タブメーカーの選択肢の夢を見ていこうと思います。
はじめに
私がイラストレーターになった頃は、ちゃんと使えるペンタブレットや液晶ペンタブレットは、ワコムしか選択肢がありませんでした。
それが数年前から、GAOMON、HUION、UGEE Technology、XP-Pen Technology(以下、XP-Pen)などの海外メーカーのペンタブレットが台頭してきました。それらの製品は非常に安価でしたが、本気でタブレットを使うユーザーには選択肢になりづらかった時代がありました。ですが年を経るに従って完成度も増し、液晶ペンタブレットもラインアップに加わり、熟成が進んでいます。
その中でも勢いのあるメーカーの1つ、XP-Penが6月に発売した「Artist 24 Pro」は税込みで約10万円と、同社の製品としてはかなり高価格帯に入る製品です。上位機への野望が伺える仕様と価格です。
もう結論から言ってしまいますが、その名に恥じぬできになっています。ただし、妥協のない上位機まではあと数歩、といったところですね。それでは、その内容を詳しく見ていきましょう。
Artist 24 Proはどんな製品?
Artist 24 Proは、同社の液晶ペンタブレット「Artist」シリーズのうち、ワンランク上となる仕様のモデルに与えられる「Pro」付きのモデルです。ですが、少し前までは、過去の比較レビューでも述べたように、Pro付きモデルであっても妥協した箇所が複数あり、発色にも残念な部分が残っていました。
Artist 24 Proは、これまでのPro付きモデルとしても高価で、大型機としても一皮むけようとしている雰囲気を感じます。主な訴求点は以下の通りです。
- 23.8型の大型ディスプレイ
- WQHD(2560×1440ピクセル)の画面解像度
- USB Type-CケーブルでPCに直接接続
- 8192段階の筆圧検知、傾き検知対応のペン
- 「90% Adobe RGB」の色域
そして、Amazonでの販売価格が9万9800円です。約10万円というと、ワコムのCintiq 22か、中古のCintiq Pro 16あたりが近い値段になりますね。
仕様上は、21.5型のCintiq 22とはサイズは近いのですが、解像度(1920×1080ピクセル)と色域と接続仕様で本製品が上回っています。また、中古と比べるべきかは迷いますが、15.6型のCintiq Pro 16に対してはサイズで大きく上回っていて、解像度(3840×2160ピクセル)で大幅に負けています。
カタログスペックはこれくらいにして、中身をもう少し明らかにしていきましょう。
外観と機能をチェック
まずは外観から見ていきます。すぐに目につくのは、左右に並ぶ大量のボタンとダイヤルですね。ボタンは合計20個、ダイヤルは2個あります。Cintiqシリーズが、本体のボタンをなくす向きに進んでいるのとは対照的です。
ペンは、Artistシリーズと同様の形状です。持ち心地は良いのですが、スリムなペンの選択肢がないのは残念です。
また、タッチセンサー式の本体操作ボタンが本体上端にあります。タッチセンサー式の時点で正直使いやすいとは言えないですが、キーボードを上の方に設置するスタイルの人は、Cintiq Proのような誤タッチが発生しにくいので助かると思います。
PCとの接続は、HDMIとUSB Type-Cの各端子を使います。Type-Cに映像出力できるPCがあれば、HDMIの接続は不要です。ただし、USB Power Delivery(USB PD)で電力を受け取ることはできないので、USB PD出力に対応したPCを持っていても、ACアダプターは必要です。
また、付属のスタンドで、非常に低い角度から高い角度まで、細かく調節することができます。このスタイルのスタンドは最近スタンダードになってきましたが、やはり便利ですね。私はCintiq 22用のスタンド単体と木材を買って、汎用(はんよう)の小型タブレット台を作って便利に使っています。
全体として、守るべきところは守り、そこに少しぜいたくな仕様を盛っていくバランス感覚が好印象です。ACアダプターが36W仕様なので、それくらいの電力で動けるならUSB PDを受け取れるようにしてくれてもよかったな、とは思います。
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