「映像美」を再定義するiPhone 12シリーズの新たな可能性:魅力のディテールを整理(2/6 ページ)
Appleが10月13日(現地時間)に行ったスペシャルイベントで、新型iPhoneとHomePod miniが発表された。そこから見えてくることについて、林信行氏がまとめた。
整理された製品構成と4つの共通の特徴
さて、今回発表されたiPhoneは2シリーズ4モデルだ。製品構成が極めて分かりやすくシンプルに整理されている。
基本となるのは、一般ユーザー向けで手頃な価格に最新の技術を凝縮したiPhone 12だ。そのバリエーションとして、サイズが小さく価格も手頃なiPhone 12 miniがある(Face ID対応カメラとしては史上最小だ)。
一方、本体サイズはiPhone 12と全く同じながら、映像製作などにも使えるプロ品質のディスプレイやカメラを備えたiPhone Proシリーズがある。そのiPhone 12 Proの兄貴分として、大画面と、さらに上をいくカメラを備え、過去最大の6.7型の画面サイズを持つiPhone 12 Pro Maxというバリエーションがある。
12と12 miniはアルミ素材で5色展開、12 Proと12 Pro Maxはステンレス素材で4色展開(従来色に加え、特徴色として「パシフィックブルー」が追加)だ。
このように色や素材こそ異なるが、形状は全製品「フラットエッジ」と呼ばれる平らな側面を持ち、かつてのiPhone 4/4sシリーズのように、そのまま机の上において立たせることもできる(セルフタイマー撮影などに便利そうだ)。
これらの新モデルで、見た目以外で共通していることが4つある。
「5G」対応、頑丈な「Ceramic Shield」による画面保護、他の追随を許さない高性能プロセッサ「A14 Bionic」の搭載、そして磁石で吸着する充電メカニズム「MagSafe」の採用だ。
昨今、5G対応の端末は珍しくない。だが、Appleはこの端末開発のために、まずは社内に最新の電波暗室を作り、5G環境を用意するところから開発を始め、徹底的に電波性能が良くなるようにデザインの工夫を重ねているという。それに加えてハードだけでなくOSやアプリも自社開発している強みを生かして、例えば映像コンテンツを楽しむ「Apple TV」やビデオ通話の「FaceTime HD」といったアプリも、5Gの通信特性に合わせて最適化して作り直している。
ただ「5G通信に対応しました」ではなく、対応したからには、その高速通信を存分に生かすことにもかなり注力している。さらに、ずっと5Gで通信を続けるとバッテリーへの影響も大きいことを考慮して、そこまで通信速度が必要ではない時に、自動的にLTE接続に切り替わるスマートデーターモードも搭載している。ちなみに4モデルの中で最小のiPhone 12 miniは、実は5G対応スマートフォンとしては業界最小だ。
「Ceramic Shield」は、ディスプレイを含むiPhoneのガラス素材を割れにくくする技術だ。既に業界で最も割れにくかったはずのiPhoneが採用するコーニングのガラスを、ガラスとしての透明さを損なわせずに、金属より硬いナノセラミッククリスタルを混ぜることに成功し、耐落下性能は4倍になった。つまり、4倍割れにくい耐久性を実現したという。
A14 Bionicは、Appleが開発するプロセッサ、要するにiPhoneの頭脳だが、Intel、AMD、NVIDIAといった他のプロセッサメーカーですら、まだ実現していない5nmの微細配線技術を採用。ちなみに5nmは、つい数日前にAMDがIntelなどに先駆け2022年までに実現すると発表したり、集積度こそ低いがSamsungが間もなく発表すると話題になっていたりしたが、Appleはそれを搭載した製品を来週から出荷する。少し難しいがCPUやGPUといったそれぞれの処理もこれまでのどのスマートフォン用プロセッサと比べても最大50%速いが、この後で触れる機械学習(AI)処理も最大80%速くなっているというライバル無しの高性能ぶりだ。
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