これぞ1つの“到達点” 第4世代Ryzenプロセッサの圧倒的な実力をチェック!(2/3 ページ)
11月6日19時に販売が解禁される、デスクトップPC向け第4世代Ryzenプロセッサ。AMDが発表したベンチマーク結果を見る限り、性能面でも大いに期待できそうだが、実態はどうなのか。発売に先んじて検証する。
シングルスレッド性能に偽りなし! 大幅なスペックアップを実現
ここからは、Ryzen 7 5800XとRyzen 9 5900Xの実力をベンチマークテストを通してチェックしていこう。
今回の検証では、AMD X570チップセットを搭載するMSI製マザーボード「MEG X570 GODLIKE」を用いた。UEFIは原稿執筆時点で最新の「7C34v1B」にアップデート済みだ。
CPUクーラーには240mmラジエーター搭載のオールインワン水冷ユニットを用意し、グラフィックスがボトルネックとならないように、GPU(グラフィックスカード)はNVIDIAの「GeForce RTX 3080」を利用した。ドライバーのバージョンは「457.09」だ。
「前世代からどうなったの?」という点が気になる人もいると思うので、比較対象として第3世代の「Ryzen 9 3900XT」(3.8G〜4.7GHz、12コア24スレッド)でもテストを行った。
CINEBENCH R20
まず、発表会でも話題になったCINEBENCH R20を実行してみよう。CINEBENCH R20は、CPUを使ったレンダリング性能を計測する定番ベンチマークアプリである。
結果は以下の通り。数値は前者がマルチスレッド、後者がシングルスレッドのポイントとなる。
- Ryzen 9 5900X:8309/628
- Ryzen 7 5800X:6056/624
- Ryzen 9 3900XT:7255/526
発表会でAMDが示した通り、第4世代Ryzenプロセッサはシングルスレッドテストのスコアが極めて良好であることが一目瞭然だ。前世代のRyzen 9 3900XTのシングルスレッドスコアは500台前半に留まっており、第4世代Ryzenとのスコア差は約17%ほどである。
公称では、IPCの向上幅は最大19%とされているが、このスコア向上もそれに近い。シングルスレッド性能の向上幅は驚異的という他ないだろう。
一方、マルチスレッドテストのスコアも前世代比で13%ほど高く、順当に数値が伸びている。
CINEBENCH R20を3回連続で実行した場合のCPU温度の推移と、平均実効クロック(Average Effective Clock)をグラフ化してみた。
ベンチマーク中の実効クロックはRyzen 9 5900Xがおおむね4.25GHz前後、Ryzen 7 5800Xが4.53GHz前後、Ryzen 9 3900XTが4.06GHz前後。テスト中はほぼブレずに推移した。
CPU温度はRyzen 9 5900Xが最大でほぼ70度、Ryzen 7 5800Xがやや高く最大83度、Ryzen 9 3900XTが最大72度前後となった。この結果を見る限り、動作クロックが高めのRyzen 7 5800Xに限り、360mmラジエーター搭載の水冷CPUクーラーを用意した方が安心できるかもしれない。
3DMark
続いて、3D描画性能を計測する「3DMark」の結果を見てみよう。DirectX 12を用いる「Time Spy」シリーズのテストと、DirectX 11を用いる「Fire Strike」シリーズのテストをそれぞれ実行した。
まずはTime Spyシリーズのテスト結果からチェックする。フルHD(1920×1090ピクセル)で描画する「Time Spy」と、WQHD(2560×1440ピクセル)で描画する「Time Spy Extreme」共に、CPUごとに総合スコアの違いが若干出た。前者がTime Spy、後者がTime Spy Extremeのスコアだ。
- Ryzen 9 5900X:16750/8565
- Ryzen 7 5800X:16321/8123
- Ryzen 9 3900XT:16634/8489
両方のテスト共に傾向は同じで、Ryzen 9 5900Xから僅差でRyzen 9 3900XTが続き、少し離れてRyzen 7 5800Xが来るといった感じだ。
CPUによる処理に着目した「CPU」のスコアに目を移すと、各CPUでより大きなスコア差が出ている。前者がTime Spy、後者がTime Spy Extremeのスコアだ。
- Ryzen 9 5900X:13353/7457
- Ryzen 7 5800X:11645/5588
- Ryzen 9 3900XT:12497/6834
もっとも、比率で出すとRyzen 9 5900XとRyzen 9 3900XTのスコア差は約7%、Ryzen 9 3900XTとRyzen 7 5800Xでもスコア差は約7%と、それほどセンセーショナルな差ではない。
CPU利用の並列度が高いDirectX 12を用いることもあって、マルチスレッド動作に強いCPUが素直にスコアを出している印象だ。
一方、DirectX 11を用いるFire Strikeシリーズのテストでは、Time Spyシリーズとは異なる傾向の結果が出た。総合スコアでRyzen 7 5800XがRyzen 9 3900XTを逆転したのだ。具体的なスコアは以下の通り。数値は、1つ目がフルHDの「Fire Strike」、2つ目がWQHDの「Fire Strike Extreme」、4つ目が4K(3840×2160ピクセル)の「Fire Strike Ultra」のスコアだ。
- Ryzen 9 5900X:33585/20524/11083
- Ryzen 7 5800X:34587/20379/11108
- Ryzen 9 3900XT:30443/19868/11045
DirectX 11を用いるゲームでは、マルチスレッド性能よりもシングルスレッド性能の方がパフォーマンスを左右する傾向にある。Zen 3の特徴であるIPCの向上と動作クロックの高さが逆転劇をもたらした格好だ。
最新世代のタイトルではなく、レガシーなFPSなどをメインで遊ぶゲーマーなら、動作クロックの高いRyzen 7 5800Xは強力な選択肢となるだろう。
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