テレワークとディスプレイ、テレワークと電気代を考える:シリーズ「私とテレワーク」(4/4 ページ)
筆者はフリーランスの広報、ライター、そしてカメラマンという「三足のわらじ」を履いている。その経験から、「デュアルディスプレイと節電」をテーマに、テレワークの快適性向上と節電を両立する方法を考えてみた。
テレワークの主役、パソコンの電気代はどれくらい?
さて、話をPCのことに戻そう。テレワークにおいて、PCの利用頻度は非常に多い。その消費電力はいかほどのものだろうか。
筆者がメインで使用しているデスクトップPCの消費電力は、電源投入時が100Wくらい、アイドリング状態が45Wくらいである。Webブラウザを開いたり、テキストを打ち込んだり普通に操作をしているときは、目まぐるしく変化するが、平均すると60Wほどだ。大容量のファイルをコピーをすると、消費電力は少し増える。
動画の変換をすると消費電力は90W近くまで上昇する。スリープ中は2〜3W程度だ。
27型WQHD液晶ディスプレイの消費電力は、稼働中が25W程度、スリープ中が約0.3Wである。打ち合わせスペースの23型フルHD(1920×1080ピクセル)液晶ディスプレイの消費電力は、稼働時が20Wほど、スリープ中が約0.4Wである。
デスクトップPCとWQHDディスプレイ1台が稼働すると合計85W、ディスプレイが2台になると合計110Wくらいとなる。
MacBook Proの消費電力は、電源投入時が30〜40W、アイドリング状態は10Wくらいとなる。普通に操作をしている時の消費電力は平均15Wほどである。
ファイルコピーをすると少し増えて18W、動画変換では35W近くまで上昇する。スリープ中は0.7W、シャットダウンすると0.6Wとなる。
平均的な消費電力をデスクトップPC+ディスプレイ1台で85W、MacBook Proを15Wと仮定し、8時間稼働すると、1kWh当たり26.48円で計算した電気代はデスクトップPCが18円、ノートPCが3円となる。ノートPCなら1カ月使っても数十円レベルなので、気にするほどのインパクトは与えない。
PCにおいて消費電力の増える場面は、Windows PCならタスクマネージャーの「パフォーマンス」タブのCPU使用率をチェックするといい。CPUの使用率と消費電力は、概ね同じ動きをする。
テレワーク時代の節電を考える
夏にテレワークで電気代が急増したという人は、何もしなければ冬も急増することが避けられない。では、どうすれば節電できるのか。基本は“我慢”である。
「それを言ったら……」という声が聞こえてきそうだ。確かに、エアコン暖房の設定を26度から22度に変更すれば、節電効果はそれなりに大きいことは間違いない。しかし、それなりに寒い。
それであれば、他の方法との併用で寒さを回避することを考えればいい。筆者の仕事部屋の暖房は石油ファンヒーターで、設定温度は20度以下として、その上で「厚着」と「局所暖房」によって寒さ対策をしている。
モコモコの靴下やスリッパを履いて、フリースやダウンジャケットを着れば、室温を下げても暖かい。局所暖房には暖房マット(小ぶりのホットカーペット)と電気敷き毛布を使用している。筆者は足先と背中に寒さを感じやすいので、足元に暖房マットを置き、メッシュタイプのオフィスチェアの背もたれから座面にかけて電気敷き毛布を設置している。
暖房マットの電力は最大43Wくらいで、暖まるとオンとオフを繰り返す。電気敷き毛布の消費電力は63Wで、温度設定つまみで温度調整をすると63W→0W→63Wを繰り返すため、平均すると消費電力は30Wほどに抑えられる。マットと毛布を合計して、消費電力は60〜70Wほどとなる。
部屋の暖房を弱めにして局所暖房でチョイ寒を補うと、トータルで電気代(暖房費)を下げられる。部屋の天井が高い場合は、暖房にサーキュレーターを併用すると節電効果を期待できる。
ただし、節電投資は必ずしもコスト削減につながるとは限らない。
筆者のオフィスのトイレには、入居時に40Wタイプ(実消費電力は36W)の白熱灯が付いていた。これを、前のオフィスから使用している消費電力3.7WのLED電球に交換した。
トイレの照明をつける時間が1日20分なら、1年で120時間となる。LED化による節電効果としては、年間100円を見込める……のだが、LED電球は安くなったとはいえ、この消費電力差に見合う「コストの回収」にはそれなりに時間がかかる。利用期間が短くなると、コストがむしろ増えてしまう。
このことは暖房にまつわる節約投資にも当てはまる。「よし、エアコンの暖房費を下げよう!」と、ダウンジャケットと石油ファンヒーターを3万円で購入したとする。しかし、在宅のテレワークが1年で終わりを迎えてしまった場合は、「結局電気代を支払ったほうが安かったよ……」となる可能性も否定できない。
何があるか分からない世の中なので、節電にかける投資は低コストになるように心掛けるようにしたい。
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