iPhoneの新技術、ProRAWはプロの写真家にどのように“写る”のか?:林信行が聞く(2/2 ページ)
予定通り、2020年に提供が始まったApple ProRAW。ProRAWに対応したiPhone 12 Proシリーズを使うことで、どのような世界が切り開かれていくのか、プロカメラマンに聞いた。
ProRAWがファッション写真の新しい可能性を開く?
もちろん、ProRAWは、まだリリースされたばかりの最初のバージョンであり、これから発展していく技術だ。今の状態が決して完璧というわけではない。
kyosyu的には、iPhoneで撮る写真は全てProRAWで撮影したいのに、勝手にRAW撮影モードが解除される問題や、RAWデータのままWindowsに取り込むのがかなり大変(USB-Lightningケーブルで接続してWindows標準の「フォト」を使って取り込む必要があり、これも必ずしも動作が安定していない。今のところ、iCloud写真を経由させる必要がある)と指摘する。
ただし、例えば将来、RAWファイルフォーマットそのものがバージョンアップされ、iPhone 12 Pro/Pro MaxのLiDAR技術を使って被写体と背景の切り分け情報なども最初から扱えるようになれば、写真加工の手間が大幅に楽になると期待を寄せている部分も大きい。
「今のProRAWは、ややRAW現像の初心者向けというイメージがある」というkyosyuだが、今後、ProRAWがkyosyuのようなプロ写真家の要求にも応えるように進化していけば、商業写真の世界もさらに大きく変わるかもしれない。
特にこのコロナ禍では、海外のファッション雑誌では、カメラマンがモデルに直接会わずにZoomなどを利用してリモートで写真の撮り方を指示して自撮りさせ、その写真を加工したものが有名ファッション雑誌の表紙を飾るといったことがはやって大きな話題となった。
多くのファッションモデルも愛用しているiPhoneで、ProRAWが当たり前になれば、そうしたリモート撮影の可能性も大きく大きく開けてくるのではないかと、kyosyuは期待しているようだ。
なお、iPhoneで撮影した年末年始の写真をソーシャルメディアで共有する場合は、Apple公認のハッシュタグ#shoton[機種名] や #[機種名]を使おう。AppleはiPhoneで撮った写真の広告を世界展開しているが、こういった写真もこのようなハッシュタグを通して発見されたものが多いと聞いたことがある。
例えばiPhone 12 miniで撮ったなら #shotoniPhone12mini、Proで撮ったなら #shotoniPhone12Pro 、Pro Maxなら #shotoniPhone12ProMax といった具合だ。これらのハッシュタグをクリックしてみると、自分と同じiPhoneで世界中の人たちがどんな写真を撮っているかが確認できる楽しさもある。
関連記事
- 圧倒的魅力の12 mini、圧倒的スペックの12 Pro Maxが加わり悩ましくなった2020年のiPhone選び
ついにiPhone 12シリーズ全4モデルが出そろうときが来た。あらかじめ12と12 Proに触っていたが、12 miniと12 Pro Maxを新たに試用する中で、ますますモデル選びが悩ましくなったという林信行氏。悩んだ末に選んだモデルとは? - 「iPhone 12」「12 Pro」を使って見えた、買い換えへの決断ポイントと新しい「Pro」の定義
Appleが2020年に投入する「iPhone 12」の中で、スタンダードモデルとなるiPhone 12とiPhone 12 Proを徹底比較。そこから見えてくることについて、林信行氏がまとめた。 - 「iPhone 12」は“高くてもProの方がお買得”と思う理由 違いは望遠カメラにとどまらず
例年と異なり1カ月遅れで、そしてオンラインのイベントで発表された「iPhone 12」。最小の“mini”が加わったiPhone 12シリーズか、さらに大画面化した“Max”を含むiPhone 12 Proシリーズか――選び方のポイントとは? - Appleがヘッドフォンの極限を目指すとどうなるのか? 「AirPods Max」への期待
Appleが12月8日に発表したオーバーイヤータイプのヘッドフォン「AirPods Max」。同社が目指した“Max”は何なのか。12月15日の発売を前に、林信行氏が考察した。 - App Storeのプライバシーラベルに見るプラットフォーマーの責任
12月15日、AppleはiOS、iPadOS、macOS、tvOSなど同社が提供する4つのOS用のApp Storeで、アプリの説明表示の方法を新しく刷新した。同社がここ数年重視しているユーザープライバシー保護を、さらに一歩押し進めるための変更だ。IT系企業のみならず、公的機関なども含むデジタル時代の大企業が、どのような社会的責任を負うべきか、改めて考えさせられる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.