デイリーユースでの性能を高めた高耐久SATA SSD「870 EVO」を試す(2/2 ページ)
SamsungのSSDに新顔「870 EVO」が加わった。3D TLC NANDフラッシュメモリ搭載の2.5インチSSDで、「860 EVO」の後継に当たる。何が強化されたのか、細かく見ていこう。
CrystalDiskMark 8.0.0
まずは、ひよひよ氏制作の定番ベンチマークテスト「CrystalDiskMark 8.0.0」で基本性能を見てみよう。テストデータのサイズは1GiBで実行した。データタイプは標準のRandomを利用している。
シーケンシャルアクセスは、リード/ライト(最上段の数値)ともほぼ公称値と一致する結果だ。ランダム4K Q1T1のリード/ライト(最下段の数値)も、860 EVOより少し良くなっている。
ATTO Disk Benchmark 4.01
ATTO Disk Benchmark 4.01で、IOサイズ別のシーケンシャルリード性能を見てみよう。870 EVOは、リードは毎秒約530MB、ライトは毎秒約500GBと公称値に近いスコアとなっている。CrystalDiskMarkよりも少し数値が低く出るのは、他社のSSDでも共通して見られる傾向なので気にする必要はないだろう。
また、4KBという小さなサイズで既にリードライトとも毎秒約300MB、128KBでほぼピークに達しており、処理の内容に左右されず、安定して快適に使用できると思われる。
また、860 EVOとの比較については、だいたいどのIOサイズでも勝ってはいるが、その差はわずかであり、なんとも言い難い。
HD Tune Pro 5.75
HD Tune Pro 5.75のTransfer Benchmarkを使って、テストサイズ100GBで転送速度の推移を見た。オレンジ色のシーケンシャルライトのグラフに注目したい。開始直後から毎秒500MB前後で推移しているが、転送容量が21〜22GBとなったあたりで転送速度が急落し、その後は毎秒350MBで推移している。資料ではバッファ領域を使い切った後の転送速度は毎秒300MBとされていたが、それを少し上回っている。
PCMark 10(Storage)
PCMark 10では、システムドライブのアクセスパターンをトレースする「Full System Drive Benchmark」、データドライブ向けのテストである「Data Drive Benchmark」の2種類を実行した。
前者はOSの起動から、アドビのクリエイティブアプリケーション、BattleField Vなどのゲーム、Microsoft Officeといったアプリケーションの起動に加えて、JPEGイメージやISOファイルのコピーなど、広範なアクセスパターンをトレースする。後者は多数のJPEGファイルをコピーする内容だが、いずれも870 EVOの方が良いスコアが出た。QD1パフォーマンスの強化、デイリーユースでの強さを証明する結果といえるだろう。
改めて価値を見直したい堅実設計と長期保証
ベンチマークテストの結果は地味だが、先代の860 EVOからは、QD1での性能向上、デイリーユースでの強さといった部分も含め、着実に進化していることは確認できた。
本製品の魅力は、速さだけではない。SLCバッファに頼らずとも良い性能の3D TLC NANDとDRAMキャッシュを搭載する高耐久かつ堅実な設計、5年の長期保証と安心感は抜群だろう。SSDの低価格化が進み、DRAMレスなどの競争の中でコスト優先の設計を採用し、仕様を詳細に公開しない製品も増えてきているだけに貴重な存在といえる。
予想実売価格は250GBモデルが5000円、500GBモデルが6980円、1TBモデルが1万1480円、2TBモデルが2万7280円だ(いずれも税込み、4TBモデルは現時点では価格未定)。容量単価では1TBモデルの買い得感が際立っている。2TBの価格はもう少し頑張ってほしくもあるが、多少割高でも本製品を選ぶ価値は十分にあるだろう。
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