大事なアイテムはiPhoneで探し、誰かが見つけてくれる未来が幕開け(1/2 ページ)
Appleの「探す(Find My)」機能が、サードパーティー製デバイスの探索機能もサポートした。当初の対応製品はわずかだが、今後の展開に期待が持てそうだ。
2009年、見つからないiPhoneを探すために誕生した「探す(Find My)」アプリは、その後、進化して、製品の盗難を防止したり、ネットワークがない場所にあるApple製品の所在を見つけ出したりする機能なども追加された。
4月8日から、この「探す」アプリに新たに「持ち物を探す」という機能が加わった。ついに、このアプリを使って対応した他社製品も探せるようになったことを意味する。探したり、盗難届を出したりといった作業も全てアプリから行う――今、そんな時代が幕開けようとしている。
Appleの「探す(Find My)」は同社製のデバイスに加え、サードパーティー製品も利用できるようになった。認証プログラム「Made for iPhone(MFi)」の一環として「探すネットワーク対応アクセサリプログラム(Find My Network Accessory Program)」の基準を満たして、認証を受けた製品は「Works with Apple Find My」のバッチを表示できる
まずは3つの製品が対応を表明
Appleの「探す」アプリは、探している物がインターネット接続できない場所に置きっぱなしになっていても、携帯電話網につながったiPhoneやiPadがその近くを通ることで発見できるのが大きな特徴だ。こういったiPhoneユーザーの移動も含めた捜査網を、同社では「探す」ネットワークと呼んでいる。
「探す」アプリと「探すネットワーク」に対応した製品は、今後、パッケージなどに「Works with Apple Find My」というロゴが記載され、製品のどこかに対応製品であることが分かるアイコンが刻印される。
「探す」ネットワーク対応アクセサリプログラムの基準を満たした製品なら、「探す」アプリに新設された項目タブ(アイテム)で追跡することができる(左)。紛失モードに設定して発見者と連絡を取れるようにしたり、通知を受け取るように設定したりすることも可能だ(右)
真っ先に対応したのはベルキン製イヤフォンの「SOUNDFORM Freedom True Wireless Earbuds」と、VanMoofの電動機付き自転車の最新モデルとなる「S3」「X3」、そして海外で人気の忘れ物防止タグ、Chipoloの「ONE Spot」の4製品だ。
自分のApple IDとひも付けして紛失した製品を探す
これらの製品は、それぞれの製品のマニュアルに書かれた方法で操作をすると、Apple機器の「探す」アプリとペアリングができ、自分のApple IDとひも付けされる。
そしてiPhoneなどと同様に、アプリから現在地を調べて地図上に表示をさせたり、どこにあるか分かるように音を鳴らさせたり、どうしても見つからない場合は「紛失としてマーク」することができる(ロストモード)。
「紛失としてマーク」した製品では次の3つのことが行われる:
- 万が一、発見された時には自分のApple機器に通知を行う
- ペアリングロック:他の製品とのペアリングができなくなる。このためヘッドフォンや自転車などスマートフォンとの連携を前提にした製品は、盗んだとしても使い物にならず価値がなくなってしまう
- 電話番号とメッセージ:製品に自分の電話番号やメッセージを残すことができる。もし、誰かが製品を発見し「探す」アプリを使って所有者を調べる機能を実行すると、それらの情報がアプリ画面に表示される。
この「探す」アプリは、2009年ごろにiPhoneを紛失したときに使う「iPhoneを探す」アプリとして登場した。最初は地図上にiPhoneの位置を表示したり、近くにあるはずのiPhoneの音を鳴らさせて見つけ出したり、盗難にあった可能性のあるiPhoneのデータを全て抹消して情報の盗難を防ぐというだけのシンプルなものだった。
その後、「紛失としてマーク(ロストモード)」が追加されたり、盗難されたことが確定したiPhoneは工場出荷設定にすら戻すことをできなくする(2度と完全に使えなくする)機能を追加したりして一部で広まりつつあった組織的な盗難を撲滅したりと進化を遂げてきた。
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