大事なアイテムはiPhoneで探し、誰かが見つけてくれる未来が幕開け(2/2 ページ)
Appleの「探す(Find My)」機能が、サードパーティー製デバイスの探索機能もサポートした。当初の対応製品はわずかだが、今後の展開に期待が持てそうだ。
新しい感謝の方法を広める
そんなアプリの中でも、最大の進化はiOS 13と共に採用された「探すネットワーク(Find My Network)」技術の導入だ。主に紛失したノート型のMacBookシリーズを探すために開発されたものだ。
iPhoneやiPadと異なり、Macは電話通信機能を内蔵せず、外出先では単体でネットワークにつながらず、紛失しても見つけることが難しかった。Wi-Fiなどでインターネットにつながっている時だけ見つけ出す機能はあったが、閉じた状態でカバンに入れたまま、どこかに置き忘れてきた、といったケースでは、Macはインターネットにつながっていない状態で、これを見つけ出すことは難しい。
しかし、この状況を変えたのが既に累計20億台以上出荷しているiPhoneのユーザーだ。接触確認アプリの「COCOA」などでもご存知の通り、iPhoneやMacなどはスリープ中で画面が消えている時でも、バッテリーをそれほど消費しない微弱なBluetoothの電波を定期的に出している。
紛失したMac(やその他の対応製品)の近くをiPhoneやiPadユーザーが通りかかると、その機器の情報が登録される。もし、その機器が「紛失としてマーク」されている製品だと、そのおおよその位置情報が持ち主に報告される、という仕組みだ。
ここで大事なのが、その際、どこの誰のiPhoneが、どこの誰の何の製品を発見したのかといった情報は全て暗号化されており、発見した本人、発見してもらった人、さらにはAppleにも、それらの詳細が分からない仕組みになっていることだ。実はCOCOAの原理によく似ているのだが、プライバシー保護を何よりも重視するAppleは、この仕組みが作れたからこそ、この技術を形にしたといってもいいかもしれない。
このため紛失して困っていた対応製品が万が一、発見された場合でも、見つけてくれたiPhoneの持ち主にお礼をしようと思っても感謝する方法がないのがちょっと歯がゆいところだが、他の誰かにペイフォワード(英語では「Pay It Forward」:他の人に親切にすることで親切の連鎖を作る考え方)するつもりでiPhoneを持って、できるだけいろいろなところを歩き回るのが新しい感謝の方法かもしれない。
忘れ物防止タグは、日本でもいくつかのメーカーが販売をしているが、Appleの製品には一定以上の体験レベルを守るために技術的仕様からマーケティング方法までをカバーするいくつかのガイドラインがある。対応製品の開発方法については、2020年にオンラインで無料開催されたWWDCでもセッションがありビデオが公開されている。
デジタルカメラやポータブルスピーカーなど、iPhoneとの連携性が高い製品では特に大きな効果を発揮しそうなので、是非とも多くのメーカーに対応をしていってもらいたい。
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