AMDが「Ryzen 5 5600G」「Ryzen 7 5700G」をボックス販売 米国では8月5日に発売:COMPUTEX TAIPEI 2021
AMDがPCメーカー向けに出荷を開始したデスクトップPC向けRyzen 5000シリーズAPUのうち、2製品がパッケージ付きで市販されることになった。米国では8月5日に発売される予定だ。合わせて、企業向けの管理機能やセキュリティ機能を追加したデスクトップPC向けAPUも投入する。
AMDは5月31日(米国東部時間)、デスクトップ向け新型APU(GPU統合型CPU)「Ryzen 5 5600G」と「Ryzen 7 5700G」を市販することを発表した。米国では8月5日に発売する予定で、想定販売価格はRyzen 5 5600Gが259ドル(約2万8410円)、Ryzen 7 5700Gが359ドル(約3万9400円)となる。
合わせて同社は、大企業向けのセキュリティ機能や管理機能を追加した「Ryzen PRO 5000 G-Series Desktop Processors with Radeon Graphics」(デスクトップ向けRyzen PRO 5000シリーズAPU)を発表した。搭載製品は、HPやLenovoを始めとする主要なPCメーカーから登場する予定だ。
デスクトップ向けRyzen 5000シリーズAPUの概要
デスクトップ向けRyzen 5000シリーズAPUは、「Zen 3アーキテクチャ」に基づく7nmプロセスのCPUコアと、RadeonブランドのGPUコアを統合した製品だ。先行して登場したモバイル向け製品の技術解説は、別の記事で紹介している。
CPUソケットは「Socket AM4」を採用する。メインメモリはDDR4-3200規格に対応し、最大で2チャンネルまで搭載できる。PCI Expressバスは、Revision 3.0(PCI Express 3.0)となる。
第11世代Coreプロセッサ(Rocket Lake)に対抗?
今回、Ryzen 5 5600GとRyzen 7 5700Gを市販することになったのは、Intelのデスクトップ向け第11世代Coreプロセッサ(開発コード名:Rocket Lake)への対抗策だと思われる。
デスクトップ向け第11世代Coreプロセッサは、PCI Express 4.0バスを20レーン装備しており、外部GPUと内蔵GPUを併用する場合や、より高速なSSDを使いたい場合に優位なCPUに仕上がっている。一方で、同プロセッサは内蔵GPUこそ最新のXeアーキテクチャベースに移行したが、実装面の都合からEU(実行ユニット数)を削減したため、モバイル向け製品と比べるとグラフィックスパフォーマンスが抑えられている。
そこでAMDは、デスクトップ向けRyzen 5000シリーズAPUについて、特にCPUのマルチコア性能と内蔵GPUのパフォーマンスの高さとをアピールする戦略を取り、GPU統合CPUにおける優位を獲得しようとしているようだ。
競合となるIntelの「Core i7-11700」(2.5GHz〜4.9GHz、8コア16スレッド)と、自社のRyzen 7 5700Gの性能比較。コンテンツ作成はもちろん、内蔵GPUを使ったゲーミング性能も競合を上回っていることをアピールしている
Hi-Rez Studiosの「Rogue Company」であれば、内蔵GPUでも「1080p、高画質」設定で比較的高いフレームレートでゲームできることをアピールしている (C)2019 - 2020 Hi-Rez Studios, Inc.
ボックス販売されるAPUのスペック
ボックス販売されるデスクトップ向けRyzen 5000シリーズAPUの仕様は以下の通りだ。なお、いずれもTDP(熱設計電力)は65Wだが、メーカーの設定で最小45Wとすることもできる。アンロック(オーバークロック)も可能だ。
【Ryzen 5 5600G】
- コア/スレッド数:6コア12スレッド
- CPUクロック:3.9GHz〜4.4GHz
- CPUキャッシュ容量(L2+L3):19MB
- GPUコア:7基
- GPUクロック:1900MHz
【Ryzen 7 5700G】
- コア/スレッド数:8コア16スレッド
- CPUクロック:3.8GHz〜4.6GHz
- CPUキャッシュ容量(L2+L3):20MB
- GPUコア:8基
- GPUクロック:2000MHz
デスクトップ向けRyzen PRO 5000シリーズAPU
デスクトップ向けRyzen PRO 5000シリーズAPUは、デスクトップ向けRyzen 5000シリーズAPUをベースに、企業向け管理機能「AMD PRO」や複層式のハードウェアセキュリティ機能を追加したものだ。従来のRyzen PRO 4000シリーズと比べると、Microsoftが提唱する「Secured-Core PC」に対応するなど、セキュリティ機能を強化している。
Ryzen PRO 4000シリーズとRyzen PRO 5000シリーズとの比較。CPUコアがZen 3アーキテクチャベースとなったことによるパフォーマンス向上に加えて、セキュリティ機能の強化も特徴である
今回の新製品における最上位モデルとなるRyzen PRO 7 5750Gと、Core i7-11700との比較。シングルコア性能では僅差でCore i7-11700に及ばなかったが、マルチコア性能では同CPUを上回るパフォーマンスを発揮したという
総合ベンチマークテストソフト「PCMark 10」の結果はもちろん、コンテンツ作成アプリ、「7-Zip」(ファイル圧縮/解凍ソフトウェア)やアプリの起動時間もCore i7-11700よりも優れているとアピールする
デスクトップ向けRyzen PRO 5000シリーズAPUは、TDPが65Wの「Gプロセッサ」と、TDPを35Wとした省電力版である「GEプロセッサ」の2種類が用意されている。ラインアップは以下の通りだ。
Gプロセッサ(TDP:65W)
- Ryzen PRO 3 5350G(4GHz〜4.4GHz、4コア8スレッド、10MBキャッシュ)
- Ryzen PRO 5 5650G(3.9GHz〜4.4GHz、6コア12スレッド、19MBキャッシュ)
- Ryzen PRO 7 5750G(3.8GHz〜4.6GHz、8コア16スレッド、20MBキャッシュ)
GEプロセッサ(TDP:35W)
- Ryzen PRO 3 5350GE(3.6GHz〜4.2GHz、4コア8スレッド、10MBキャッシュ)
- Ryzen PRO 5 5650GE(3.4GHz〜4.4GHz、6コア12スレッド、19MBキャッシュ)
- Ryzen PRO 7 5750GE(3.2GHz〜4.6GHz、8コア16スレッド、20MBキャッシュ)
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