App Store、公正取引委員会の調査結果を受けリーダーアプリから外部リンクが可能に
日本の公正取引委員会が行っていた競争阻害行為の有無について調査が終了し、Appleと合意に達した。今回の決定は日本だけでなく世界中の開発者に適用される。
日本の公正取引委員会は、2016年10月以来、App Storeのガイドラインが、アプリ開発者のビジネス機会を奪っていないかの調査を続けていた。今回、Appleが最終的な争点になっていたリーダー(Reader)系と呼ばれるアプリに関する規約を変更することで両者が合意し、長年にわたる調査が終結したことを発表した。
なお、今回の決定は日本だけでなく世界中の開発者に適用される。
リーダーアプリから外部リンクが可能に
App Store Review Guidelineの定義によれば、Reader系アプリとは、コンテンツ単独あるいは定期購読の形で購入済みのコンテンツにアクセスするためのアプリのことで、電子雑誌、電子新聞、電子書籍、オーディオコンテンツ、音楽コンテンツ、そして動画コンテンツを表示/再生するアプリのこと。
これまでも開発者は、Appleが提供するアプリ内課金を使ってコンテンツの販売/定期購読をすることができた。問題があるのは、開発者が手数料を避けるなどの理由により、自社で直接コンテンツの販売/定期購読を提供しようとした場合だ。これまでAppleが規約で、アプリ内から開発者サイトへのリンクなどの直接誘導を禁止していたため、開発者は自社サイトでコンテンツ販売をしていることを、他の方法でユーザーに知らせる必要があった。
2022年初めから適用される今回の規約変更後は、リーダー系アプリに自社のWebサイトへのリンクを用意して直接、アカウント作成やコンテンツ購入、定期購読の申し込みを促すことができる。リンクをクリックすると、デフォルトのWebブラウザが起動し、開発者Webページが表示される。開発者が自社サイトで販売したコンテンツや、申し込ませた定期購読サービスについてはAppleに対しての手数料は発生しない。
では、全てのコンテンツ開発者はリーダーアプリを自社サイトにリンクすべきなのか。
Appleの担当者は必ずしもそうとは言えないという。
Appleのアプリ内課金の仕組みは膨大な実績を持つ安心安全なサービスで、ユーザープライバシーへの配慮などでも定評がある。Apple提供のアプリ内課金を使うことで、利用者は顔認証や指紋認証などを使って安全に決済をすることができ、iOS/iPadOS/macOSの標準的な方法で定期購読の集中管理を行ったり、子供に有害なコンテンツを見せないためのペアレンタルコントロールをしたりといった機能の恩恵を受けることもできる。
一時、高いと言われていた手数料も、中小の開発者に対しては以前の30%から15%に削減されている。
リーダー系アプリは、Appleのアプリ内課金の仕組みを用いるか、自社の課金を用いるかの二者択一をする必要があり、両方を同時に提供することはできない。自社課金を選んだ開発者は、自ら安全な決済方法を用意し、安全に利用者のアカウント管理を行い、定期購読の管理や子供の安全を守るための仕組みを用意しなければならなくなるわけで、今後も開発者にとってアプリ内課金を使うメリットは十分に大きいとAppleは考えているようだ。
なお、Appleはつい先日、中小規模の開発者を支援するための7つの方針を発表している。
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