第9世代iPadに感じた妥協しない価値 iPad miniとクイックメモに感じた新しい展望(4/4 ページ)
フルモデルチェンジを果たした「iPad mini」と、着実に進化した「第9世代iPad」の実機を林信行氏がレビュー。両モデルから見えてきた、Appleが目指す方向性とは?
クイックメモ機能がもたらすiPad miniならではの新たな可能性
iPad miniを使ってみた感想はここまでが半分だ。残りの半分は、この製品に感じたすさまじい可能性について書かせてもらいたい。
このiPad miniとiPadOS 15のコンビ、特にクイックメモ機能との組み合わせには、これから先のiPadという製品の印象を根本から変えてしまいそうな大きな可能性を感じた。
例えばTVや雑誌で気になるレストランを紹介していたら、iPad miniのカメラでパシャッとそれを撮影し、右下からクイックメモを出し「#気になるレストラン」とハッシュタグを追加する(iPadOS 15、iOS 15ではメモにハッシュタグを加えて串刺し検索できる)。
電子書籍を読んでいて気になる部分があったら、そこでも付せんを貼るようにしてクイックメモを追加する。旅行先で次回の訪問に行ってみたい場所を見つけたら、マップアプリを開いて位置情報を確認した上で地図にクイックメモの付せんを貼ってしまう。
こうすることでiPhone/iPadのメモに、あなたの人生を豊かにするメモがどんどんと蓄積されていく。これまで一度見たら、その場で消費しておしまいだった情報が、メモアプリの中に一生モノのメモとしてどんどんと蓄積されていく。
よく有名クリエイターを紹介するTVや雑誌のインタビューで、何十年も大事な情報を書きためた大事なノートが紹介される。これまでそうしたノートは紙でしかありえないと思っていた。
しかし、iPad miniとクイックメモの組み合わせを体感したとき、初めて一生モノに近いノートがデジタルでも可能なのではないかという感触を感じた(もちろん、AppleがiPadとメモ機能をいつまで維持してくれるかに依存する部分はあるが……)。
クイックメモはiPad miniだけの機能ではなく、第9世代iPadでも、iPad Airでも、iPad Proでも利用できる。でも、重さを意識せずに常に持ち歩け、気になったときにカバンのポケットからサッと取り出せてメモが取れる、という機動性を考えるとクイックメモが一番大きな価値を発揮するのは、このiPad miniではないかと思う(正直、Pro Max仕様のiPhoneをApple Pencilとクイックメモに対応させて欲しいという思いは少しある)。
そう考えると、今回のiPad miniは、既に写真/ビデオ編集用にiPad ProやiPad Airを持っている人でも、それとは別のメモ専用機として1台持つ価値がある製品なのではないかと感じている。
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