最も華やかで最もモヤモヤする Apple M1搭載「iPad Pro」レビュー(1/5 ページ)
Apple M1やLiquid Retina XDRディスプレイ搭載、そして5G対応と盛りだくさんの新型iPad Proだが、実際のところはどうなのか。旧モデルとの比較を含めて検証する。
こんにちは! イラストレーターのrefeiaです。
今年もiPad Proが発売されましたね。2020年の暮れには、これからデジタルイラストを学ぶ人は基本的にどのiPadを買っても良いという記事を書きましたが、当時の悩みは実質2年遅れのiPad Proに対してiPad Airが最新になっているという、ラインアップの混乱でした。
そして2021年、iPadのラインアップは秩序を取り戻しました。その王者であるiPad Proの目玉は、Mac用に開発されたApple M1チップ、最大16GBものメインメモリ、Liquid Retina XDRディスプレイです。
M1チップはクリエイティブ用途には頼もしい計算パワーをもたらし、大容量のメインメモリは、これまでiPadでリッチなイラストを制作しようとすると避け難かった動作速度の低下に、絶大な効果が期待できます。
というわけで今回は、商業+大判などの極めて要求の高いイラスト制作をどれくらい収容できるのかという点をチェックしつつ、後はガジェットオタク的に気になるポイントを掘っていこうと思います。よろしくお願いします!
iPad Pro 2021はこんなスペック
例によってですが、2021年のiPad Proも見た目は以前のモデルとほとんど同じです。カメラやインタフェースなどの細かい点を除くと、概ね以下のようになります。
- 全モデルで得られるのがApple M1チップと8GBのメインメモリ
- ストレージ1TB以上のモデルで得られるのが16GBのメインメモリ
- 12.9インチモデルで得られるのがLiquid Retina XDRディスプレイ
2018年モデルではメインメモリが多いモデルは1TB版のみで、実験的/イレギュラーな印象がありましたが、今回は1TBと2TBの複数モデルで16GBのメインメモリを得られるようになりました。以前よりも、巨大なメモリを要求することを当たり前にしようとしている雰囲気があります。
そして価格は……非常に高くなったという印象で語られるのを見かけますが、実際には値上がりしたとは簡単には言いづらいです。
このように、11インチモデルは16GBのメインメモリを求めなければ、安くなった2020年からほぼ据え置き、12.9インチモデルは「高級ディスプレイ代」が乗っているのでしょうが、2018年とほとんど変わりません。
そして、モデル間の価格も例によって異様に整っています。
ストレージ増量代は1万2000円の倍数を基本に、1〜2TB版ではメインメモリのおまけがつきます。サイズアップ代は常に3万5000円ですね。買おうとしている方は参考にしてみてください。
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