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第6世代「iPad mini」実機レビュー Macを豊かにするプラスワン iPhoneの選び方を変える可能性も本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)

iPhone 13と同時発表の第6世代「iPad mini」は、ついにiPad Pro系の新しいデザインを採用。(第4世代)iPad Airのプロセッサを強化し、サイズを小さくした高性能なミニタブレットに進化した。その実力をいち早く試してみた。

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iPad miniが「小さいAir」ではない部分

 ほとんど小さなiPad Airだと書いたが、では細かな部分で「小さなAir」ではないところについて触れておきたい。

 一つはもちろん、SoCが最新のA15 Bionicであることだ。CPUに関してA14 Bionic比ではシングルコアの性能はほとんど同じ(クロック周波数がiPhone 13よりも低い3GHzであるため)だが、マルチコアの性能は少し高い。ただ、ほぼ同じと考えていいだろう。

 しかしGPUはフルスピードの5コア版であるため、iPad Airに比べて50%程度演算能力が高まっている。この辺りの理由は不明だが、あるいは消費電力との兼ね合いだろうか。

 あるいはiPad miniのサイズを考えると、ゲーム機としても適度なサイズ感と重さなので、GPUをフルに使うようなゲームでも熱ダレしないようにとの配慮かもしれない。いずれにしろ、iPhone 13よりA15 Bionicのクロックが控えめとはいえ、CPU性能に関しても、そしてGPU性能に関しては圧倒的にミニタブレットとして高性能だ。

 またiPad Airにはない、122度の対角画角があるインカメラは「センターフレーム」機能がiPad Proに続いて採用された。機械学習を利用し、ユーザーが動いてもフレームの中心を保つように自動調整する機能だ。参加者が加わって複数のユーザーが映るようになっても、全員がフレームに収まるよう画角を調整する。

 iPad Proに搭載された機能なので、センターフレームについては承知している人が多いと思うが、オンライン会議やテレビ電話がポピュラーになってきた昨今、一度使い始めると手放せない便利さがある。

 一方で小型化に際しての制約も一部にはみられる。

 一つはボタンの配置で、全てのボタンが上部に集められた。慣れの問題だが従来のiPadに慣れている人は戸惑うかもしれない。iPad Air同様、トップボタンには指紋認証センサーのTouch IDも内蔵されており、マスクをしたまま素早くロックを解除できる。

iPad mini
上部にTouch ID搭載のトップボタン、スピーカー、音量調整ボタンを搭載

 また上部と下部に内蔵したスピーカーは、iPad ProやiPad Airのような合計4つのスピーカーではなく、2つのスピーカーだ。ステレオ再生を楽しむには画面を横向きにキープする必要がある。iPad ProやAirでは4つのスピーカーを組み合わせ、縦横どちらでもステレオ再生となり、さらには空間オーディオでも活用しているが、残念ながらiPad miniには入らなかった模様だ。

iPad mini
下部にUSB-Cコネクターとスピーカーを備えている

 またバッテリー駆動時間も、基本的にはiPadの標準ともいえる10時間というスペックを実現しているが、実際に使ってみるとiPad Airに比べてやや短い印象だ。とはいえ、M1搭載の12.9インチiPad Proに比べると長いという印象も受ける。

 まだ使い始めのため結論は出せないが、個人的にはiPadシリーズとして十分な容量は確保されていると感じた。

MacユーザーにiPad miniがおすすめの理由

 iPad miniは、これまでの製品が最新のiPad Airに近い機能と性能を持つ小型製品ということで、必ずしもユーザー層を拡大するような製品ではないと感じるかもしれない。iPadの中での大小の大きさだけが違いなら、そう考えるのも当然だろう。

 しかし、サイズが違えば使い方も変わる。いろいろな利用シナリオで考えると、iPad miniは魅力的に感じるようになってくるはずだ。

 筆者の場合はMacと一緒に持ち歩くシナリオである。例えば、MacBook AirとiPad miniのWi-Fi + Cellularモデルを持ち歩けば、iPhoneよりも電池が長持ちするiPad miniを5Gモデム代わりにしつつ、移動時のコンパクトかつスマートフォンよりも大画面のポータブル端末になる。

 それにMacが相棒ならば、セカンドディスプレイとして使えることに加えて、Macからの操作でiPadの機能にアクセスするユニバーサルコントロール(年内提供予定で現時点では試せない)も可能になる。過去数年にわたって統合してきたMacとiOS・iPadOSにおけるデバイス間の密な連携が、iPad miniというデバイスの活躍の場を広げている。

 例えば筆者は仕事柄、どこでも効率よく文字入力できる道具が必須であるため、ノートパソコンの利用が前提だ。そこで出先にMacBook AirとiPad miniを持っていれば、macOSのSidecar機能で液晶ペンタブレットとしてもiPad miniを使える。主にはiPad miniを使ってPDFやWebブラウザで資料を開きながら、MacBook Airで文章を書くだろう。

 Apple Pencilを活用する際にはiPad mini単体で使うだろうし、iPad miniで届いたメールの添付ファイルを開き、そこに長文を返信しなけばならないときには、AirDropやHandoffを使って連携したMacBook Air側で作業の続きができる。さらにmacOSで予定されている新機能の「ユニバーサルコントロール」が動くようになれば、MacBook Airから直接iPad miniに乗り入れることさえ可能だ。

Monterey
次期macOSであるmacOS Montereyに加わる予定の連携機能「ユニバーサルコントロール」。MacのカーソルをiPadOS 15搭載iPadのディスプレイに向けて動かすだけで、iPadが自動的にカーソルを認識し、シームレスに操作できる(画像はWWDC基調講演の配信動画より)

 またオンライン会議に参加するデバイスとしてもiPad miniは便利だ。内蔵のインカメラは高画質な上、センターフレームにも対応している。オンライン会議のウィンドウがMacBook Airの画面を占有しないため、会議と並行して資料に手を入れたりメモを取ったりすることが容易になる。

 地方や海外への出張が多かった時期には、MacBook Proと12.9インチiPad Proの組み合わせが具合がよかったが、同じような使い方を日常の中にも取り込むことができる。ノマドワークといった働き方もすっかり当たり前になってきている中で、iPad miniはワークスタイルに豊かなプラスワンをもたらしてくれるはずだ。

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