ハイエンドSSDが新時代に! 176層/PCIe 4.0 x4の新製品2モデルを試す(3/4 ページ)
176層の3D TLC NANDフラッシュメモリを搭載した、PCI Express 4.0 x4対応SSDが続々と登場している。Crucialと日本シーゲートの最新モデルをチェックした。
HD Tune Pro 5.75
HD Tune Pro 5.75のTransfer Benchmarkを実行した。オレンジ色のシーケンシャルライトのグラフに注目してほしい。どちらも公式な仕様としてSLCキャッシュの容量は公開されていないが、SLCキャッシュ搭載製品は、キャッシュ容量を超えるとガクッと転送速度(シーケンシャルライト)が落ちる。大きなデータを転送してその転送速度の推移を見れば、SLCキャッシュの容量を推測できる。今回、テストサイズは300GBとしている。
FireCuda 530は、開始直後から毎秒6000MB弱の速度で推移しているが、220GBあたりから速度が落ちて、毎秒3700〜3800MBとなる。このことから、SLCキャッシュが約220GBで、SLCキャッシュが効かない状態での速度が毎秒3700〜3800MBであることが推測できる。
SLCキャッシュなしで毎秒3700〜3800MBというのは相当に優秀……というより、SLCキャッシュ有効でもここまでの性能を持つ製品は限られる。SLCキャッシュに頼らずとも高いパフォーマンスが発揮できることを実証している。
一方、P5 Plusについては、SLCキャッシュ搭載製品の典型的な挙動とは異なる。40GBくらいの間隔で毎秒4000MBの落ち込みを少し挟みつつも、概ね毎秒4500MB前後をキープする。平均でも毎秒約4460MBと高い性能を維持している。1TBモデルで少なくとも300GBまでキャッシュが有効ということを示しているわけだが、SLCで300GBということはTLC換算で900GBだ。ほぼ全域を、SLCキャッシュとして利用することができるということを示している。
シーケンシャルライト以外のスコアも見てみると、ランダムリード/ライト(シングル=QD1)の性能が良い一方、シーケンシャルリードは全域で毎秒2500MB程度となっている。コントローラーのアルゴリズムが、かなり独特なのではないかと推測される。
HD Tune Pro 5.75の結果(P5 Plus)。ライトはほぼ全域で高いスコアをキープしている。一方、リードは全域で毎秒2500MBと低いスコアにとどまった。4KB Random single(Read)のスコアが良いのも目立つ
PCMark 10(Storage)
PCMark 10では、システムドライブのアクセスパターンをトレースする「Full System Drive Benchmark」、データドライブ向けのテストである「Data Drive Benchmark」の2種類を実行した。
前者はOSの起動、Microsoft Office、Adobe Creative Cloud、BattleField Vといったゲームなどさまざまなアプリケーションの起動、JPEGイメージやISOファイルのコピーなど、広範なアクセスパターンをトレースする。また、後者のデータドライブ向けのテストは大量のJPEGファイルのコピー(リード、ライト、リードライト両方)を行う内容だ。
どちらのテストも、P5 Plusの方が良いスコアが出た。CrystalDiskMarkやATTO Disk Benchmarkの結果とは矛盾するが、実践的な内容でファームウェアのアルゴリズムがハマったのだろう。FireCuda 530のスコアもエントリー向けSSDのスコアを圧倒的に上回っており、PCI Express対応SSDとしても上位のスコアであることは間違いない。
FINAL FANTASY XIV:暁のフィナーレベンチマーク
最後に、FINAL FANTASY XIV:暁のフィナーレベンチマークのローディングタイムを計測した。計測条件は、3840×2160ピクセル、最高品質だ。わずかだが、FireCuda 530の方が良い結果となっている。エントリー向けSSDのスコアも悪くはないのだが、FireCuda 530、P5 Plusともさすがにハイエンドモデルといえるスコアが出ている。
最後に、利用時の発熱を見ていこう。
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