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約11年ぶりの「FMV LOOX」 「超小型PC」から「薄型軽量タブレットPC」になったのはなぜ?(1/2 ページ)

富士通クラウドファンディング(FCCL)が、約11年ぶりに「LOOX(ルークス)」のブランドを復活させた。しかし、多くの人が想像する超小型モバイルPCではなく、薄型軽量のタブレットPCとして世に送り出される。なぜ、LOOXブランドの“復活”がタブレットPCになったのだろうか?

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 既報の通り、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は6月中旬、第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)を搭載する13.3型タブレットPC「FMV LOOX」を発売する。量販店モデルの想定販売価格は18万1280円(税込み)からとなる。

 2011年にNTTドコモが発売した「Windows 7ケータイ F-07C」以来、約11年ぶりに登場したLOOXブランドのPCだが、読者の中には「これは本当に“LOOX”と名乗ってもいいのか?」と疑問を持った人もいるだろう。というのも、LOOXは超小型モバイルPC(今風にいえば「UMPC」)に付与されるブランドだったからだ。FMV LOOXは確かに軽量なのだが、コンパクトとは言いきれない。

 FCCLはなぜ、この新しいタブレットPCに「LOOX」というブランドを付与したのだろうか。

FMV LOOX
11年ぶりにLOOXブランドを冠して登場した「FMV LOOX」。特に古くからPCに親しんでいる人ほど、タブレットPCとして登場したことに違和感を覚えているようだ(写真の「LIFEBOOK UH Keyboard(FMV Mobile Keyboard)」は別売)
最軽量
13.3型ワイドディスプレイを備えるWindowsタブレットPCとしては世界最軽量の約599gを実現した。齋藤邦彰会長(左)によると、LIFEBOOK UHシリーズの「ムサシ(約634g)」を超える「コジロー(約546g)」を実現したかったそうだが、特に放熱面で問題が生じることから約599gで落ち着いたそうだ

そもそもLOOXはどんなブランドだったのか?

 LOOXブランドのルーツは、2000年にまでさかのぼる。当時、富士通(当時)はコンシューマー向けノートPCを「FMV-BIBLO」というブランドで展開していたが、モバイルに特化したサブブランドとして登場したのが「FMV-BIBLO LOOX」である。

 2000年に登場したLOOXは、8.8型液晶を備え1kgを切る重量を実現した「FMV-BIBLO LOOX S」と、10型液晶と光学ドライブを備える「FMV-BIBLO LOOX T」の2本立てだった。いずれもウィルコム(現在のソフトバンク)のネットワークに対応するPHSモジュールを内蔵するモデルを用意しており、64kbps(理論値)という当時としては比較的高速なモバイルデータ通信を1台でこなせた。

LOOX SLOOX S 2000年に発売されたFMV-BIBLO LOOX S(PHSモジュール内蔵構成)を手にする齋藤会長。会長は当時、デスクトップPC(FMV-DESKPOWERシリーズ)の開発を担当していたそうで、LOOXに直接携われなかったことが悔しかったという

 その後、LOOXブランドはハンドヘルドPC(PDA)や「ネットブック」(廉価なモバイルPC)を途中で挟みつつ歩みを重ねてきた。富士通が直接発売したモデルとしては、2010年に発売された「FMV-BIBLO LOOX U/G」が、他社を介して発売されたモデルとしては先述のF-07Cが“最後”のLOOXとなり、LOOXが担っていた役割はLIFEBOOKのUHシリーズやSHシリーズに引き継がれることになる。

LOOX U
富士通が直接発売したものとしては最後となったLOOX Uを手にする齋藤会長。写真の通り非常にコンパクトなモデルで、最軽量構成では約495gだった
F-07C
LOOXブランドを冠する製品のラストを飾ったのは、NTTドコモから発売されたWindows 7ケータイ F-07Cだった。F-07CはSymbian OSベースで開発されたiモードケータイと、Atomプロセッサを使ったPCが1台に“同居”するという、かなりの意欲的な製品だった。このサイズでWindows 7 Home Premium(32bit版)が動き、おサイフケータイまで使えてしまうのは驚きである
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