“山椒は小粒でぴりりと辛い”超小型PC「GPD MicroPC 2021ver」を試す(2/3 ページ)
パフォーマンスの向上と共に価格が高くなっている超小型PCだが、この「GPD MicroPC 2021ver」は手頃な価格で入手可能だ。クセのある見た目だが、実際の所はどうなのかを試してみた。
1度起動してしまえば思った以上にキビキビと動作
早速、ベンチマークテストを行った。まずは「CrystalDiskMark 8.0.4a」(ひよひよ氏作)でストレージの速度を計測した。テストは5回行い、その平均値を取った。
本機に採用されているストレージは、Serial ATA接続のM.2 SSD(Type 2242)ということもあり、最近の一般的なノートPCとは比較にならない値ではあるが、HDDよりも高速で、起動してしまえば思った以上に普通に使える。
本機のGPUは、CPU内蔵のIntel UHD Graphics 600なのでこちらも過度な期待は禁物だが、スクエア・エニックスの「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」を「最高品質」「標準品質」「低品質」のグラフィック設定でテストした。
最高品質と標準品質でのスコアは2275〜2285で、評価は「やや重い」だった。とはいえ、テスト中はキャラの動きや画面遷移などに乱れやカクツキは見られず、全体的になめらかな印象ではあった。
一方の「処理負荷を極限まで低くして、快適な動作を実現するための設定」という低品質モードにすると、ようやく「普通」の評価となり、やはり「工具」であることを改めて確認した。
CPUは非力だしパフォーマンスを求めるモデルではないのだが、ライトな用途には十分に対応できそうではある。
GPD MicroPC 2021ver.でも、従来モデルと同様に、冷却ファンをオフにすることができる。ファンを回しながら上記のベンチマークテストを行っている際は、ボディーが最も熱くなるヒンジ部分の温度が41.9度だった。
試しにファンを停止させてドラゴンクエストX ベンチマークソフトを最高品質モードで2回ほど行ったところ、かなり動作にカクツキが見られるようになり、スコアも1600ほどに下がり、評価も「重い」になった。先ほどと同じ箇所の温度も46.2度と4度以上熱くなったことになる。
ファンの風切り音は、上位モデルの「GPD P2 Max」のように騒々しくはないので、通常は常時オンのままにしておこう。
立ったままでも両手持ちで作業が行える
ボディーが小さいため、キーボードも相応にコンパクトだ。キーピッチは実測で約11mm、縦方向も約10.5mmと、ノートPCのキーボードというよりもガラケーのそれに近いタイプ感だ。このポチポチという確かな押下感は悪くない。
入力作業はというと、一般的なノートPCのように机の上や膝の上で使うのは、独特なキー配列もあってなかなか厳しい。
もっとも、キーボードの左上に左右のクリックボタン、右上にタッチパッドを備えた配置からも明らかなように、本機の場合は両手でGPD MicroPC 2021ver.を握りしめて使う親指入力が前提だ。
しっかり両手でPC本体をホールドしても、親指が中央付近にある「G」や「H」キーに届くことから、スマホのフリック入力以上のスピードで入力できる。しかも、Shiftキーが左右にあるため、アンダースコアなどの入力もスムーズにこなせた。バックライト機能も備えており、暗所での作業もこなせる。
タッチ操作こそ非対応だが、左右のクリックボタンの間にあるスクロールボタンのおかげで、予想以上に快適なWebブラウジングが行えた。スクロールスピードの調節も直感的でき、予期しない挙動が生じることもなく、快適であった。
左右のクリックボタンとスクロールボタンは、キーボードの左上に配置される。タッチパッドでタップしてクリックする癖がついているため、「おっと、ここでクリックできるんだった」と、慣れるまでは手間取った。とはいえ、タッチパッドの配置やサイズもいいあんばいなので、困った事態にはならない
最後に、本機が備えた意外な魅了に触れておきたい。
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