日本の中小企業を元気にしたい! 3つのクラウドを中心に「All Adobe」で取り組む理由:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(アドビ前編)(3/3 ページ)
コロナ禍以降も、経済環境や社会情勢が激変する2022年。さらに急激な円安が進む中でIT企業はどのような手を打っていくのだろうか。大河原克行氏によるインタビュー連載の第1回はアドビだ。
リモートでのコミュニケーションやコラボレーションは加速する
―― アドビは、2022年9月に、Figma(フィグマ)の買収を発表しました。この狙いはどこにありますか?
神谷氏 コロナ禍では、リモートでコミュニケーションやコラボレーションをするという状況が浸透しました。これは、もはや後戻りはできません。むしろ、もっと加速していくことになるでしょう。デザインの領域でもそれは同様です。その点で、コラボレーションデザインツールと位置づけられるFigmaは重要なツールになります。
―― 2022年7月にはFigmaの日本語版の投入が発表されましたし、日本のクリエイターにとっても関心が高まっています。日本においては、どのようなメリットが想定されますか?
神谷氏 現状は買収手続きが完了していない段階ですし、日本での展開をどうするかといったことや、Adobe XDをどうするかといったことはまだ決定していません。ただ、クリエイター同士が協業して成果物を生み出すという動きがどんどん広がっていますし、日本のクリエイターが、世界中のクリエイターとコラボレーションし、共同で仕事をするという機会はこれまで以上に増えていくでしょう。
また、企業の中には、世界中の優れたクリエイターに直接アクセスして、デザインを任せたいというニーズも広がっています。当社はコラボレーションという観点からも、クリエイターや企業を支援していきたいと思っています。コラボレーションできる環境の拡充は、日本のクリエイターが、世界で活躍するチャンスを大きく広げることにつながると思っています。
―― アドビでは、Z世代に対する訴求も強化していますね。
神谷氏 スマホで誰もが、カジュアルに画像を加工する時代に入っています。それをリードしているのがZ世代です。それに伴い、クリエイティブツールも、プロフェッショナルだけが利用するツールから、より多くの人たちが利用できるツールに変容する必要があり、それに向けて、当社も変化してきています。
簡単に動画を作成できるAdobe Expressの提供や、Adobe Premiere Rushでは、TikTok向けのオリジナル動画を制作するための機能を提供するなど、Z世代が活用しやすい機能による提案も行っています。また、趣味での利用だけでなく、教育機関が導入しやすい製品やプランを用意することもZ世代に向けたアプローチになります。
当社の製品は、小学生からクリエイター、大企業でも導入され、幅広いユーザーに使っていただいています。ここまで幅広いユーザーを対象に製品を提供している企業はありません。とはいえ、個人的にはまだ男性寄りの製品が多いと感じています。女性がもっと使いやすくなったり、女性が使いたくなったりする製品やサービスを提供したいですね。
※後編に続く
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