Alder Lakeより前の人は今すぐアップデートすべき! ASUSの高コスパマザーボードで20万円以下の“使えるPC”を組んで分かったこと:節約するなら「マザーボード」?(3/3 ページ)
為替レートの影響もあって、最近はCPUを始めとするPCパーツの割高感が増す傾向にある。「それでも、最新世代のCPUを使って自作PCを作りたい!」という人は、マザーボードに着目すると予算を節約できるかもしれない。この記事では、ASUS JAPANの「PRIME Z790-A WIFI-CSM」で“強くて手頃”な第13世代Coreプロセッサ搭載自作PCを作ってみようと思う。
PRIME Z790-A WIFI-CSMで「予算20万円」の自作PCを作成!
第13世代Coreプロセッサは先代の「Intel 600シリーズチップセット」を搭載するマザーボードにも対応している。マザーボードの費用を抑えたいのであれば、1世代前のマザーボードを搭載するモデルを買うという選択肢も検討可能だ。
しかし、ハイエンド向けの「Intel Z690チップセット」を備えるマザーボードは、Z790チップセットを搭載するモデルへの置き換えが進んでいて、在庫が少なくなりつつある。入手性を考えると、これから第13世代Coreプロセッサを軸にした自作PCを組むのであれば、UEFIの更新も不要な「Intel 700シリーズチップセット」を搭載するマザーボードを選んだ方が間違いはない。
……と、少し話がそれそうになったが、ここからはPRIME Z790-A WIFI-CSMを使って自作PCを実際に組んでいこうと思う。今回は既存のケース、電源(750W)、水冷キットを流用して、残りの“中身”を入れ替える前提で構成を検討した。ケースだけでなく、OS(Windows 11 Pro)のライセンスもそのまま流用することで出費も抑えている。
結果、筆者は以下のような構成の自作PCを組み立てることになった。なお、価格は全て1月18日時点の税込み実売価格をもとに算出し、今回は水冷キットのリテンションキットの買い換えは考慮に入れていない。
- マザーボード:PRIME Z790-A WIFI-CSM(5万円)
- CPU:Core i5-13600K(5万円)
- メインメモリ:DDR5-4800規格の16GB DIMM×2(2万円)
- SSD:Crucial P5 Plus 1TB(1万5000円)
- グラフィックスカード:Sapphire PULSE AMD Radeon RX 6600 XT(6万円)
上記で合計金額はおおむね19万5000円である。結構ギリギリになってしまったが、Wi-Fi/Bluetoothモジュールや2.5GBASE-T対応有線LANアダプターを別途買わなくて済むということを考えたら、結構お得なのかなとも思う。
Core i5-13600Kはパフォーマンスコア(Pコア)が6基12スレッド(3.5GHz〜5.1GHz)、高効率コア(Eコア)が8基8スレッド(2.6GHz〜3.9GHz)という構成で、アンロックに対応している。グラフィックスカードを搭載する場合、内蔵GPUを省いた「Core i5-13600KF」を購入すれば3000円ほど節約できるが、グラフィックスカードにトラブルが発生した際のフェールセーフの観点から、あえて「GPUなし」を避けている。
グラフィックスカードは「最新のものを狙いたいが、値段的に届かない……けれど、HEVC(H.265)動画のエンコードはサクサク進めたい」という考えのもとに選んだ(参考レビュー)。
ここからは、このPCを使って各種ベンチマークテストを実行していく。参考として、一部のテストでは過去にPC USERでレビューした「Core i5-12400F」(2.5GHz〜4.4GHz/Pコア6基12スレッド)を搭載したPCにおけるスコアも併載する。
CINEBENCH R23
3Dレンダリングを通してCPUの性能をチェックする「CINEBENCH R23」の結果は以下の通りである。
- マルチコア
- 今回のシステム:2万3521ポイント
- 過去のテスト:1万1307ポイント
- シングルコア
- 今回のシステム:1941ポイント
- 過去のテスト:1712ポイント
アンロック対応の有無(≒元々の稼働クロックが高さ)の違いはさておき、マルチコアのスコアは、やはりEコアの有無がモノをいう。第13世代CoreプロセッサではEコアを搭載するモデルが増えているが、特にクリエイティブ用途を意識してPCを組み立てる場合はEコア付きのモデルを選ぶ方がが吉といえそうだ。
PCMark 10
続けて、PCの総合性能をチェックする「PCMark 10」を実行してみよう。総合スコアは以下の通りである。
- 総合スコア
- 今回のシステム:8734ポイント
- 過去のテスト:7641ポイント
- Essentials
- 今回のシステム:1万2570ポイント
- 過去のテスト:1万925ポイント
- Productivity
- 今回のシステム:1万339ポイント
- 過去のテスト:9640ポイント
- Digital Content Creation
- 今回のシステム:1万3911ポイント
- 過去のテスト:1万1492ポイント
CPUは1世代差で、GPUは「XT」が付くか付かないかの違いということもあってか、スコアの差はそれほど大きくない。しかし、着実にスコアは向上している。
予算次第ではあるが、数千円差で収まるならCPUやGPUは少しでも良いものを選んだ方が良い。
3DMark
搭載しているグラフィックスカードに差があることは承知の上で、3Dグラフィックスのベンチマークテスト「3DMark」も実行してみた。総合スコアは以下の通りだ。
- Fire Strike(フルHD/DirectX 11)
- 今回のシステム:2万6012ポイント
- 過去のテスト:2万1129ポイント
- Time Spy(WQHD/DirectX 12)
- 今回のシステム:1万198ポイント
- 過去のテスト:8418ポイント
今回の自作では、「フルHDでゲームを快適に楽しめる」という裏テーマを設定している。そういう観点では、今回のシステムは十分な性能を発揮できてはいる。予算がもう少し潤沢であれば、ハイエンドグラフィックスカードを用意してWQHD(2560×1440ピクセル)あるいは4K(3840×2160ピクセル)でも快適なゲーミング環境を構築できるだろう。
限られた予算で“強い”PCを作るなら「マザーボード」に注目!
昨今のPCパーツの価格事情を踏まえて、今回は20万円以内で“中身”をリプレースする想定で第13世代Coreプロセッサを使った自作PCを構築してみた。今回は前世代(第12世代Coreプロセッサ)との比較を行ったが、同じクラスでも1世代分の進化としては意外と大きい。普段お使いのシステムからのアップグレードをする際の目安にしてもらえると幸いである。
最新世代のCPUを使うことを優先する場合、節約するポイントはケースバイケースだが、多くの場合ではマザーボードの予算を削減すると効果てきめんである。ただし、アンロック対応CPUを組み合わせる場合、あるいは高性能なグラフィックスカードを搭載したい場合は、マザーボードの仕様をよく確かめた上で購入するようにしたい。
その点、ASUS JAPANのPRIME Z790-A WIFI-CSMは、Intel Z790チップセットを搭載するマザーボードとしては現時点において最もコストパフォーマンス(費用対効果)に優れた選択肢の1つといえる。最新ハイエンドCPU(と最新GPU)を使いつつ、予算を抑えて自作したいという人は、ぜひ心に留めておいてほしい。
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