7.2万円を超える価値がある!? ワッパ良好な「Ryzen 7 7800X3D」のパワーを先行チェック!:4月14日発売(2/4 ページ)
L3キャッシュを大増量したAMDの「Ryzen 7000X3Dシリーズ」のエントリークラス製品の発売日と想定価格が発表された。ハイエンド製品から遅れて出てきたエントリー製品だが、「ゲームを快適に楽しむ」という観点では最良の製品かもしれない。発売に先んじて、その実力をチェックしてみよう。
Ryzen 7 7800X3Dの本当の“強さ”をチェック!
遊ぶタイトルによっては、Ryzen 9 7950X3Dよりもゲームで有利かもしれない――そうなると、Ryzen 7 7800X3Dの“強さ”をチェックしたくなってくる。ここからは、同CPUの実力を、ベンチマークテストを通して明らかにしていきたい。
今回はAMDから提供されたレビューキットをベースに、筆者の手持ちの機材を組み合わせて構築したテストを実施した。主なスペックは以下の通りである。
- CPU:Ryzen 7 7800X3D(8コア16スレッド/4.2GHz〜5GHz)
- マザーボード:AMD X670Eチップセット搭載(MSI MEG X670E ACE)
- メインメモリ:DDR5-5600 32GB×2(G.SKILL RIPJAWS S5)
- グラフィックスカード:Radeon RX 6800 XT(MSI RADEON RX 6800 XT GAMING X TRIO 16G)
- SSD:PCI Express 4.0接続 1TB(Crucial P5 Plus 1TB)
- 冷却ソリューション:Fractal Design Lumen S24
- 電源:1000W(ASUS ROG-STRIX-1000G)
- OS:Windows 11 Pro(バージョン22H2)
なお、今回は参考情報として、過去に行ったRyzen 9 7950X3DとCore i9-13900Kのベンチマークテストの結果も掲載する。
CINEBENCH R23
まず、3Dレンダリングを通してCPUの性能をテストする「CINEBENCH R23」を実行してみた。結果は以下の通りだ。
- マルチコア
- Ryzen 7 7800X3D:1万7544ポイント
- Ryzen 9 7950X3D:3万4136ポイント
- Core i9-13900K:3万8716ポイント
- シングルコア
- Ryzen 7 7800X3D:1800ポイント
- Ryzen 9 7950X3D:2034ポイント
- Core i9-13900K:2224ポイント
当然かもしれないが、Ryzen 7 7800X3Dはマルチコアのスコアが奮わない。ほぼキレイにRyzen 9 7950X3Dの半分となっている。8コア16スレッドしかないので、致し方ない。パフォーマンスコア(Pコア)の数なら、Core i9-13900Kも同数だが、16基16スレッドある高効率コア(Eコア)がてきめんに効果を発揮している。
一方、シングルコアのスコアは、純粋に最大クロックの差である。Ryzen 7 7800X3DとRyzen 9 7950X3Dは、定格こそ同じ4.2GHzだが、最大クロックで0.7GHz(700MHz)の差がある。Ryzen 7 7800X3Dのスコアをクロックと同じ1.14倍すると、Ryzen 9 7950X3Dとほぼ同じになるので、「最高クロックが惜しい!」といったところだろうか。
PCMark 10
続いて、PCの総合的な性能をチェックする「PCMark 10」の結果を見ていこう。総合スコアは以下の通りとなった。
- Ryzen 9 7950X:9779ポイント
- Ryzen 9 7950X3D:1万222ポイント
- Core i9-13900K:1万329ポイント
3D V-Cacheの真価は、複数のCPU命令が入れ替わり立ち替わり実行される場面で発揮されやすい。PCMark 10のテストは、CPU命令という観点では単調な傾向にあるため、L3キャッシュの多さを生かしづらい。
PCMark 10のテスト内容は、PCの基本的な操作にフォーカスしているゆえに、多コアCPUのメリットも表れづらい。よって、総合スコアは似通った値となっている。
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