ベストセラーを“大画面化”した狙いは? 15インチMacBook Airを試して分かったこと:本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/3 ページ)
Appleが6月12日「15インチMacBook Air」を発売する。13インチMacBook Air(M2搭載)をそのまま大画面化したようにも見える本機には、画面を大きくしたからこそ得られるメリットもある。早速チェックしてみよう。
Appleが6月13日に発売する「15インチMacBook Air」は、2022年にリリースされたApple M2チップ搭載のMacBook Airの画面を13.6型(※1)から15.3型に大型化したモデルである。
(※1)15インチモデル登場に伴い、13.6型モデルは「13インチMacBook Air」と呼ぶようになった(M2チップ搭載モデルの厳密な名称は「MacBook Air(M2, 2022)」となる)
先に伝えておきたいのは、15インチMacBook AirはM2チップの13インチMacBook Airの体験を、そのまま大画面化したモデルであるということだ。Touch ID(指紋センサー)を備えるキーボード、ディスプレイの色域(DCI-P3 100%カバー)や最大輝度(500ニト)、ボディーカラーのラインアップ、公称のバッテリー駆動時間、ファンレス設計……など、主要なスペックは13インチモデルと変わらない。
端的にいえば、その素性は「M2チップの13インチMacBook Airを大画面化しましたよ!」でおおむね伝わってしまう。しかし、今回の“大画面化”は意外な所で大きなメリットをもたらしている。どういうことなのか、チェックしていこう。
13インチモデルの「高い完成度」はしっかり継承
2022年に発売されたApple製品の中でも、シンプルながら最も重要かつ大きな意味があった製品は、M2チップ搭載MacBook Airだったと思う。この連載でも、1年弱前にレビューしている。
もちろん、「Mac Studio」と「Studio Display」の組み合わせ、パワフルな「M1 Ultraチップ」、そして「iPhone 14 Proシリーズ」も丁寧に作り込まれた製品だった。Appleにとって、ビジネスの面ではもちろんiPhoneの方が比重は大きい。
しかし、M2チップを搭載したMacBook AirはCPUやGPUが強化されただけではなく、動画処理を専門に行う「Media Engine」を搭載し、それでいてファンレスという13インチMacBook Airは、ほとんどのMacユーザー(特にカジュアルな個人ユーザー)のニーズを満たす製品となっている。
もちろん、MacBook Airについて「Thunderboltポートが2基しかない」と不満を述べる人もいるだろうし、「そもそもSDメモリーカードスロットやUSB Standard-Aポート、HDMI出力がないなんて論外」と考える人もいるだろう。今に始まったことではないが、そうした「接続性」はUSBハブなど別のデバイスに依存せざるを得ない。
しかし、実際に使い始めてみると、そうしたことはほとんど気にならない。いや、実際には「カメラから大量のデータ転送する時にSDメモリーカードを直接読みたい」とか「映像編集時のラッシュ映像はHDMI端子から直接出力したい」といったニーズがあるのは確かに分かる……分かるのだが、そういう人は「MacBook Pro」をどうぞというのが、現在のAppleのスタンスなのだろう。
いずれにしろ、MacBook Airは、WindowsノートPCを含むほとんどのモバイルコンピュータの中で、もっともパワフルで電力効率が高く、キーボードやディスプレイ、内蔵するカメラからマイクに至るまで、スペック以上に“利用体験”を追求したベストセラーのMacである。
かつてのMacBook Airでは、搭載するバッテリーの容量やディスプレイの性能(色再現性や解像度)への妥協が否めなかった。薄型化や視認性を優先するためだ。現行のMacBook Airは、自社設計のSoCの電力効率の良さを背景に上記の妥協をせずに済んでいる。その上、ファンレス化も行っている。
今回、“妥協のない”MacBook Airがより大きな画面のバリエーションにまで広がった。そういうことになる。
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