「iPhone 15 Pro」のカメラ使いこなし術 “写真機”としての進化を作例とともに振り返る:本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/5 ページ)
iPhone 11シリーズ以来、iPhoneはカメラ機能を“写真機”に近づける取り組みを継続している。特にProシリーズはそれが顕著だが、最新の「iPhone 15 Pro」や「iPhone 15 Pro Max」は、その理想に達することができたのだろうか。使いこなし術を紹介しつつ、検証してみよう。
「7本のレンズをポケットに」ってどういう意味?
さて、AppleはiPhone 15 Pro/15 Pro Maxにおいて「7本のプロ用レンズをポケットに」というセールストークを打ち出している。「iPhone 15 Pro Max」は、望遠カメラが77mm相当(ライカ判換算の焦点距離のレンズ画角:以下同様)から120mm相当となり、よりバリエーションの広い撮影が行えるようになった。
補足すると、その間の画角や120mmを超える望遠に関しても、デジタル画像処理で出力は可能だ。Appleとしては、一般的なレンズ交換式カメラの作法に近い形で、写真を撮影できる操作性をPro版にのみ持たせたかったがゆえに、このようなアピールとなったのだろう(iPhone 15/15 Plusに相当する機能はない)。
「7本」の内訳はマクロ/13mm/24mm/28mm/35mm/48mm/75mm(15 Pro Maxは120mm)となっている……のだが、マクロレンズなど一部はカメラの映像を画角に合わせてクロッピング(≒電子ズーム)処理することで対応している。
例えば、マクロレンズは13mmの超広角カメラ(約1200万画素)をクロッピングしているのだが、正直にいうとこれを「別のレンズ」とみなすのは“やり過ぎ”の感もある。ただし、画角の選択はバランスが良い。
望遠カメラのスペックについて、iPhone 15 Proの「77mm(3倍)」と、iPhone 15 Pro Maxの「120mm(5倍)」で迷う人もいるだろうが、個人的にはポートレート撮影を考えるならiPhone 15 Proの77mmの方が扱いやすいと思う。そこは用途次第、好み次第といったところだろうか。
超広角(13mm)と望遠(77mm)の画角については説明不要だと思うが、それ以外の24mm、28mm、35mm、48mmに関しては、それぞれがどのように生成されるのか、振る舞いを知っておいて損はないだろう。
まず、24mm、28mm、35mmの「3本」は、「iPhone 13 Pro」比で約1.5倍となる約4800万画素(24mm)のメインカメラから生成される。「iPhone 14 Pro」と同じセンサーではあるが、生成される映像は約1200万画素から約2400万画素に改められている。
カメラアプリ上の「1x」ボタンをタップするごとにレンズはトグルで切り替わり、指定した画角(倍率)を覚えておいてくれる。約4800万画素のセンサーから来たデータは、その設定(倍率)に従って切り抜かれ、約2400万画素の映像として保存される。
「なら、センサーのデータをそのまま保存する『RAW撮影』をするとどうなるか?」という点だが、24mmの場合は約4800万画素(=センサー画素数のまま)のRAWデータで保存される。一方で、28mmと35mmでRAW撮影をすると、切り抜き後の約2400万画素のRAWデータとして保存される。
計算上、28mmでの撮影はセンサー画素数が出力画素を上回る一方で、35mmでの撮影は逆に画素数が不足する。つまり、2400万画素での撮影時は若干のデジタルズーム処理が入ることになる。
48mm(2xモード)の映像についても、メインカメラが用いられる。ただし先の28mmや35mmとは処理が異なり、センサーの中央部をクロップして映像を作っている。この辺の処理はiPhone 14 Pro/14 Pro Maxと同じで、出力される映像も約1200万画素となる。
それ以外のカメラでの出力も約1200万画素であることを考えれば、「大サイズでプリントする」などより高画素である方が有利な使い方をしないなら、出力は約1200万画素で統一しても良いような気もする。メインカメラの画質を見ても、実力値として1200万画素以上の情報量はあると思う反面、約2400万画素の情報量があるかと言われると、場合によっては「少しいい過ぎでは?」と思うところもある。
もちろん、設定で変更は可能なので、これもまたユーザーの好みだろうか。
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