「iPhone 15 Pro」のカメラ使いこなし術 “写真機”としての進化を作例とともに振り返る:本田雅一のクロスオーバーデジタル(4/5 ページ)
iPhone 11シリーズ以来、iPhoneはカメラ機能を“写真機”に近づける取り組みを継続している。特にProシリーズはそれが顕著だが、最新の「iPhone 15 Pro」や「iPhone 15 Pro Max」は、その理想に達することができたのだろうか。使いこなし術を紹介しつつ、検証してみよう。
深度情報で「後からピント合わせ」を実現!
Proが付かないモデルも含め、iPhone 15シリーズではポートレートモード“ではない”通常撮影でもデータに被写体の深度情報が記録できるようになった。具体的には、画素単位でカメラからの距離情報がメタ情報として記録される。
iOS 17またはmacOS Sonomaの「写真」アプリで深度情報を含む写真を開くと、写真には小文字の「f」マークが付与されて区別できる。このマークがある写真は、後からポートレート機能を適用することが可能で、後から被写界深度(ピントが合う範囲)を調整し、ピントの合っている位置を変更可能だ。
ただし、全ての写真に深度情報が記録されるわけではない。以下の条件がそろうと付加される。
- HEIF形式で保存(RAW形式では不可)
- 人物あるいは動物の表情を自動認識 or 画面タップしてピント(フォーカス)位置で指定
上記を満たしても、被写体と近すぎる場合(≒そもそもポートレートモードで撮影できない場合)は深度情報が付与されない。これは2xモードで起こりがちだが、撮影シーンを考えると当然といえば当然だろう。同様の理由で、マクロで撮影した写真にも深度情報は付与されない。
「深度情報が付与されるかどうか、見分ける方法はないの?」という点だが、撮影画面で左下に「f」マークが出ている状態でシャッターを切れば付与される。「常にポートレート(モード)がいい!」という場合は、初めから「ポートレート」に切り替えておくと良いのだが、通常撮影時に後から絵作りできるのはやはり便利だ。
後から絵作りできるなら、それに合わせた撮影法もある
後から絵作りできる(ポートレートモードにできる)という前提なら、お勧めの撮影方法がある。
まず、24mmのメインカメラでピント位置をタップして広めの画角で撮影しておくとよい。広めに撮影、つまり距離を取って撮影することで、「近すぎて深度情報が記録されない」というリスクを軽減できる。
例えば料理店で撮影する時などには、同席の人に気を使うこともあって、ポートレートモードでの撮影距離や構図を考えている時間がない場合もある。広めの画角で角度だけを決めて深度情報を含めた写真を撮影しておき、後から被写界深度の深さやピント位置を決め、クロップ処理で絵を“決める”といいだろう。
先述の通り、24mmでの撮影は約2400万画素出力が規定値なので、このやり方でも十分な画質を得られるはずだ。
一方で、深度情報のある写真なら、どの程度のボケにするのか、ピントの芯をどこに持ってくるのか、後から詳細に決められる。2023年のiPhoneは、いわゆる“前ボケ”の再現性も高まっているので、後からピントの深さと位置を変える処理は、なかなかやりがいがある。
個人的には7倍望遠モードが加わったことよりも、この機能の方がずっと気に入っている。過去の製品、特にiPhone 14 Proあたりならアップデートで対応できそうなものだが、残念ながら通常写真への深度情報の付与は、iPhone 15/15 Proシリーズ専用の機能となっている。
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