手が届くMRヘッドセット「Meta Quest 3」実機レビュー 買わないと決めていた記者の心が揺れ動いている(1/4 ページ)
ついに発売したスタンドアロン型VR/MRヘッドセット「Oculus Quest 3」の先行レビューをお届け。「しばらくQuest 2のままでいいや」──それは甘い考えでした。
米Metaのスタンドアロン型VR/MRヘッドセット「Meta Quest 3」が、日本でも10月10日に発売しました。世代を重ねて進化してきたQuestシリーズですが、新しいQuest 3はフロントパネルに配置された6つのカメラとセンサーが存在感を示しているように、現実の身の回りの空間を活用したMR(複合現実)機能も充実しています。
基本スペックなどは既報の通りとして、今回はQuestシリーズをはじめとするVRヘッドセットを一通り体験している記者が、Quest 3にじっくり触って見えてきた部分をお伝えします。
箱が小さくなっている!
Quest 3を手にしてまず驚くのが、本体を収めた箱がQuest 2に比べて小型化されていることです。Quest 2の箱は長方形で場所を取りましたが、Quest 3の箱は正方形に近く、非常にコンパクトです。箱を保管しておくユーザーは多いと思いますが、これはうれしい改善です。
小型化した本体とコントローラー、着実な改良が進む
箱から取り出したQuest 3もずいぶんと小さくなったように感じます。Quest 2に比べて40%のスリム化を果たしており、白と黒の色使いによって余計に差が大きく見える、デザインのトリックもあります。接顔パーツと呼ばれる、顔に触れる黒い部分を取り外してみると、実際の差が分かりやすいです。
本体を小型化できた理由の1つとして、レンズの改良が挙げられます。Quest 2ではレンズ部分に同心円状の模様が見える軽量薄型の「フレネルレンズ」を採用していましたが、Quest 3ではディスプレイとレンズ部分をより近く配置して薄型化できる「パンケーキレンズ」に変更されました。
コントローラーは、Quest 2のコントローラーからリング状の部分をそのまま取り除いたようなデザインでコンパクトになりました。ボタンの押し心地の質感が気持ち向上したように思いますが、ほとんど誤差でしょう。
「Meta Quest 2」のコントローラー(写真=上)と「Meta Quest 3」のコントローラー(写真=下)。個人的にはコントローラーを机に置いたり、手放したりするときにリング状の部分をつかむのが便利だったので、旧型も嫌いではありません
Quest 3はサイズ以外も各所が変更されています。左側にはUSB Type-Cポートと電源ボタン、通知LEDが配置されています。ケーブルを差せば、通知LEDがオレンジ色に点灯して充電が開始されたことが一目で分かります。これは地味に良い改善で、Quest 2では通知LEDが反対側にあったため、ケーブルを挿した時に充電が開始されたか少し確認が手間でした。ケースを半開きにしてケーブルを突っ込んで充電するような場面です。
右側にはイヤフォンジャックがあります。充電ケーブルとイヤフォンを同時に接続する場合、それぞれ左右にケーブルをはわせられるので取り回しがいいかもしれません。重心のバランスも取りやすいでしょう。
本体底部には音量ボタンに加えて、IPD(瞳孔間距離)の調整用ダイヤルが追加されました。Quest 2はレンズ部分を指で直接動かして調節する必要があったのですが、今回はゴーグルを装着したまま、きれいに映像が見られる位置を確認しながら調整できます。素晴らしい改善です。
さらに今回はメガネ族に朗報です。メガネをしてゴーグルをかぶる場合、形状によってはメガネ分のスペースを余計に確保する必要があります。Quest 2では専用オプションのスペーサーを取り付ける必要がありましたが、Quest 3では調整機構が内蔵されました。内側のレンズ部分の近くにあるボタンを押し込むことで、接顔パーツを前後に調整できます。
頭部に固定するためのゴムバンドも改善されています。Quest 2は逆T字型だったのに対し、Quest 3は逆Y字型に変更されています。そのおかげか、締め付け感が少ない状態で頭にしっかり固定できました。これまでは「ダイヤルで締め付けを調整しやすい上位オプションの『Eliteストラップ』は必須だよね〜」という考えだったのですが、自分1人で使う機会が多いのであれば、しばらくはゴムストラップで様子を見てもいいでしょう。
スピーカーは3D空間オーディオに対応し、Quest 2に比べて音量も40%アップしています。実際に音を聞き比べてみると、確かにQuest 3は低域が豊かで迫力が増しており、音量も大きくなっていました。VR音ゲーをプレイするのが楽しくなりそうです。
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