高級左手デバイスはどんな人に向いている? プロイラストレーターが「TourBox Elite」を試して分かったこと:ある日のペン・ボード・ガジェット(3/5 ページ)
昨今、人気を集める「左手デバイス」。さまざまなカスタマイズが可能で、ユーザーの生産性アップに貢献してくれます。プロイラストレーターのrefeiaさんが導入した体験記をお届けします。
どんなこだわりも受け止める設定アプリ
圧巻なのは設定アプリの機能で、書くのをちゅうちょしたくなるぐらいの、細かい要求に応える作りになっています。イラスト用途でよく使われる、「キーストローク」または「キーマクロ」を割り当てられる簡素な左手デバイスと比べて優れている点をざっと挙げると、
- 同時押しやダブルクリックにも別々の機能を割り当てられる
- キーリピートや「ボタンを離した時に発動」も設定できる
- キーやマクロを並べたオンスクリーンのメニューを作れる
- マクロにはマウス操作や動作待ちのウェイトも設定可能
- ダイヤルのクリック間隔を調節できる(振動機能でクリックを再現しているので)
- アプリを検知して割り当てを自動切り替え、アプリ内で複数の割り当てを行き来することも可能
- 他の絵師さんの割り当てをインポートして利用できる
です。ざっとでも多い!
同時押しやダブルクリックはこんな感じにリスト化されていて、設定できます。
オンスクリーンのメニューは、作ってみるとこんな感じです。ワコムのドライバにもキーストロークやマクロを画面上に配置できる似た機能があります。
マクロの作成は、操作を1個ずつ登録して決定を繰り返していくタイプで、操作性としては煩雑です。そのかわり、キー操作とマウス操作、固定文字列の入力などを自由に組み合わせて、ウェイトなどを入れながらアプリの動作速度の都合で止まってしまう心配なく作り込めます。
試しに、「同じ服のキャラを何度も描く」作業を想定して、彩色に必要なレイヤーを自動で作っていくマクロを作ってみましたが、ウェイトを設定できるおかげで意図した通り動くものが作れました。
他のクリエイターの割り当てをダウンロードできるのも良い取り組みです。描き方や操作スタイルが確立された人なら自分で割り当てを作った方がいいと思いますが、何といってもこの分野で最も複雑な部類のデバイスです。他の人の使い方を参考にできると助かることも多いでしょう。
全体として、やや煩雑になってしまうとはいえ、極めて細かく複雑な要求にまで応えてくれることに感心しました。やりたいことに対して諦めなくていいのはとても大事です。
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