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誕生25周年の「Bluetooth」はどう進化していく? 距離計測やスピードアップ、5GHz/6GHz帯活用も:マーケティング責任者が語る(3/3 ページ)
1998年にBluetoothが生まれてから、今年(2023年)で25年となる。CEATEC 2023への出展に合わせて、Bluetooth SIGのケン・コルドラップCMOが来日し、Bluetoothの“これまで”と“これから”を語った。
進化を続けるBluetooth
Bluetooth SIGや同団体のメンバーが開発/策定した技術を取り入れつつ、規格としてのBluetoothは進化を続けている。
Bluetooth 5.0以降のBLEにおいて導入された新機能や機能改善としては、以下のようなものが挙げられる(いずれもオプション規格で、通信速度と距離は理論値)。
- 最大通信速度向上
- 最大通信速度を1Mbpsから2Mbpsに引き上げ
- 長距離通信モードの導入
- 最大通信速度を抑える代わりに、通信可能範囲を拡大
- メッシュ通信モードの搭載
- BLE機器が「多対多」で通信できるようになる
- 信号波からデバイスの“向き”を検知する機能を追加(Bluetooth 5.1〜)
- 「Angle of Arrival(AoA)」「Angle of Departure(AoD)」の2方式を用意
- 測位衛星(GPSなど)の信号を捕捉しづらい、屋内ナビゲーションでの利用を想定
- Bluetooth LE Audio(Bluetooth 5.3〜)
- 「PAwR」プロファイルの追加(Bluetooth 5.4〜)
- PAwRは「Periodic Advertising with Responses」の略
- 従来の「PADVB(Periodic Advertising Broadcast)」プロファイルを拡張
- 受信側(表示デバイス)から送信側(配信サーバなど)にデータを返送可能に
- 電子広告や電子値札における定期的なデータ更新での利用を想定
Bluetooth SIGでは今後、BLEに対して以下の機能拡張を予定している。
- 高精度距離測定(2024年前半予定)
- デバイス間通信によって、±10%の精度で距離を測れる
- UWB(超広帯域)無線を使う計測システムほどの精度はない
- 超高精度を求めない「デジタルタグ」「デジタルキー」などでの利用を想定
- 通信速度の向上(時期未定)
- 現行の最大2Mbpsから最大8Mbpsに引き上げ
- オーディオのストリーミング品質向上や、データ同期の高速化に期待
- 各種ワイヤレスコントローラーの応答速度向上にも活用
- 利用周波数帯の拡大(時期未定)
- 現行の2.4GHzの他、5GHz帯と6GHz帯も利用できるようにする
- 将来の用途拡大を視野に帯域を拡大
- 電波が2.4GHz帯に集中しすぎることによる問題の緩和に期待
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