大規模ビジネス向けMicrosoft 365から「Microsoft Teams」を“切り離し” 4月1日から全世界で
ヨーロッパで行われた大規模ビジネス向けMicrosoft 365/Office 365からの「Microsoft Teams」の“切り離し”が、全世界で行われることになった。4月1日以降に新規契約(またはプラン変更)した場合、Microsoft Teamsの利用を希望する場合はライセンスを別途買う必要がある。【追記】
Microsoftは4月1日(米国太平洋時間)から、サブスクリプションサービス「Microsoft 365」「Office 365」の大規模ビジネス向けライセンスの提供条件を一部変更した。同日以降に新規契約(または契約ライセンスを変更)した企業には、コミュニケーションツール「Microsoft Teams」の利用権が付帯しなくなる。
なお、EEA(欧州経済領域)とスイスでは、2023年10月1日から既に新ライセンス体系に移行している。ただし、契約上は他の国/地域における新ライセンスとは“別物”として扱われる。
【追記:4月4日9時30分】記事の一部をより分かりやすくすると共に、日本における新ライセンスの料金を追記しました
新しいライセンス体系の経緯
従来、Microsoft 365/Office 365の大規模ビジネス向けライセンスには、ごく一部(※1)を除いてMicrosoft Teamsの利用権が標準で付帯していた。これに対して、Teamsと競合するコミュニケーションツール「Slack」を提供するSlack Technologiesが2020年、「Microsoft Teamsのバンドルは競争法(日本における「独占禁止法」に相当)に違反する」としてEC(欧州委員会)に提訴していた。
(※1)Microsoft 365 Apps for enterprise
これを受けて、ECではMicrosoftに対する調査を開始。Microsoftは「(SlackやECの)懸念に対処するための有意義な措置」として、2023年10月1日以降にEEAとスイスにおいて大規模ビジネス向けMicrosoft 365/Office 365の新規契約、または契約ライセンスを変更するユーザーに対して、Teamsの利用権の“ない”ライセンスの提供を開始した。
新しいライセンス体系と既存ライセンスの扱い
今回、Microsoftは「世界的に一貫したライセンス(体系)」を提供するために全世界における大規模ビジネス向けMicrosoft 365/Office 365を“Microsoft Teamsなし”に改める。
4月1日以降のOffice 365/Microsoft 365のライセンスの内容と、3月31日までにOffice 365/Microsoft 365を契約していたユーザー(ライセンス)の扱いは以下の通りとなる。なお、4月2日(日本時間)時点において、日本語サイトでは新ライセンスに関する告知は行われていない。告知され次第、追記する。
4月1日以降に新規契約したライセンス
4月1日以降に新規契約したライセンスにはMicrosoft Teamsの利用権は付帯しない。Microsoft Teamsを利用したい場合は、別途「Microsoft Teams Enterprise」のライセンスを購入する必要がある。米国におけるMicrosoft Teams Enterpriseのライセンス料金は、1ユーザー当たり月額5.25ドル(約800円)となる。
3月31日までに新規契約したライセンス
3月31日までに新規契約したライセンスについては、引き続きMicrosoft Teamsの利用権が付帯する。今まで通り、Microsoft 365/Office 365のライセンスの範囲内でTeamsも利用可能だ。
ただし、4月1日以降に契約ライセンスを変更した場合、新ライセンスの契約(移行)が必要となる。ライセンスの変更後もTeamsを継続利用するには、Microsoft Teams Enterpriseの契約を契約する必要がある。
日本における新ライセンスの料金
日本におけるビジネス向けMicrosoft 365/Office 365の新ライセンスの1ユーザー当たりの標準料金(年間契約の場合)は以下の通りだ。
- Microsoft 365 Enterprise(Teamsなし)
- E3:月額5059円
- E5:月額8208円
- Office 365(Teamsなし)
- E1:月額1161円
- E3:月額3110円
- E5:月額5359円
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