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モバイル向け「Ryzen 7035シリーズ」に“GPUレス”が登場 手頃な価格のゲーミングノートPCにつながるか:型番のルールが揺らいでいる
AMDが、Zen 3+アーキテクチャのRyzen 7035シリーズにGPU“非搭載”モデルを追加した。GPUレスであること以外にも、対応メモリ規格などにも一部変更がある。
AMDの「Ryzen 7035シリーズ」は、Zen 3+アーキテクチャのCPUコアとRDNA 2アーキテクチャのGPUコアを搭載するモバイル向けAPU(GPU統合型CPU)だ。
ところがこのほど、Ryzen 7035シリーズのラインアップにAPUではないモデル、つまり内蔵GPUのないCPUが加わった。GPUレスのモデルでは、映像出力のために別途GPUを搭載する必要がある。
Ryzen 7035シリーズ(GPUレス)の概要
Ryzen 7035シリーズのGPUレスモデルは、GPUがないこと以外にも次の差異がある。
- パッケージ(CPUスロット)が「FP7」から「FP7r2」に
- サポートするメモリ規格がDDR5のみとなった(最大DDR5-4800/64GB)
CPU直結のPCI Expressバスは20レーンで、うち16レーンをGPUなどに利用できる。
ラインアップは以下の通りだ。
- Ryzen 5 7235H
- CPUコア:4基8スレッド(3.2GHz〜4.2GHz)
- L1キャッシュ:384KB
- L2キャッシュ:2MB
- L3キャッシュ:8MB
- TDP:45W(標準値:PCメーカーによって35〜54Wの範囲内で変更可能)
- オーバークロック:非対応
- Ryzen 5 7235HS
- CPUコア:4基8スレッド(3.2GHz〜4.2GHz)
- L1キャッシュ:384KB
- L2キャッシュ:2MB
- L3キャッシュ:8MB
- TDP:45W(標準値:PCメーカーによって35〜54Wの範囲内で変更可能)
- オーバークロック:非対応
- Ryzen 7 7435H
- CPUコア:8基16スレッド(3.1GHz〜4.5GHz)
- L1キャッシュ:512KB
- L2キャッシュ:4MB
- L3キャッシュ:16MB
- TDP:45W(標準値:PCメーカーによって35〜54Wの範囲内で変更可能)
- オーバークロック:非対応
なお、今回の新モデルはAMDが定めたモバイル向けCPU/APUのモデル名ルールから逸脱している。数字の百の位について、本来「2」はAthlon Gold、「4」はRyzen 3を表すものだが、それぞれRyzen 5、Ryzen 7に使われてしまっている。
また、デスクトップ向けのRyzen 7000シリーズではGPUレスモデルに「F」という識別符を付けているが(参考記事)、今回の新モデルは型番を見ただけではGPUレスであることを判別できない。
モデル名のルールから逸脱した理由や、GPUの有無を識別できないモデル名を付けた意図について、AMDは説明を一切行っていない。
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