次世代スイッチの主流となるか!? 磁気式アナログ検出スイッチ搭載の75%キーボード「VK720A」を普段使いの視点で試す:キーボード ナビ(2/4 ページ)
エレコムから、磁気式アナログ検出スイッチを採用したゲーミングキーボード「VK720A」が発売される。ユニークな新モデルを普段使いの視点で試してみた。
ゲーミングキーボードの新トレンド「磁気式アナログ検知スイッチ」
現在、主流のキースイッチには大きく分けてメカニカルスイッチ/メンブレンスイッチ/静電容量無接点方式スイッチの3つがある。
メカニカルスイッチは機械的な接触でキーのオン/オフを判断する仕組みで、接点部分の作りによってタクタイル/クリッキー/リニアなど異なるフィーリングが得られる。Cherry製MXスイッチの互換品が多く販売されており、ユーザー自身でスイッチを交換できるキーボードも多い。
メンブレンスイッチでは1枚の薄膜状シートに全てのキーの接点を設け、各接点の上にラバードーム、さらにその上にキーを乗せた形になっている。キーを押すとラバードームがつぶれて接点が接触し、指を離すとラバードームの復元力でキーが戻る。安価に作成できる反面、フィーリングについては価格なり、といったところだ。
静電容量無接点方式スイッチは、ラバードーム内に円錐型のコイル(コニックリング)があり、コニックリングの変形による静電容量の変化を検知する。物理的な接点がないために耐久性が高く、どれくらい押下されたのかを検知できるため、キーがオンになるアクチュエーションポイントを調整可能といったカスタマイズ性も高い。
そして、最近ゲーミングキーボード用スイッチで存在感を増してきているのがVK600A/VK720Aで採用されている磁気式アナログ検知スイッチだ。キースイッチのステム(軸)に磁石が付いており、基板側のセンサーによって磁界の変化を読み取る仕組みで、静電容量無接点方式スイッチと同様に接点がなく、押下距離をリニアに検出することができる。
VK720Aでは、押下始めから終わりまでリニアに変化する、タクタイル感のないスムーズな入力感で、VA600Aの30〜60gから30〜50gに軽減した押下圧と合わせてかなりソフトな印象だ。
この磁気式アナログ検知スイッチの機能面での大きな特徴が、キーのオン/オフをデジタルで読み取るのではなく、押下距離をアナログで読み取ることができるという点だ。最終的にキーボードからPCに送られる時にはキーオン/オフの二値情報になるが、キーボード側では「何mm押下されたらキーのオン信号を送る」「押下状態から何mm戻ったらキーのオフ信号を送る」という処理を行うことになる。
これによって、実現されている機能が追従式アクチュエーションポイント/リセットポイント、いわゆるラピッドトリガーと2ndアクション(セカンドアクション)だ。
通常のキースイッチは「初期状態(キーが下がっていない状態)からどれだけ下がった位置にキーがあるか」によってキーオン/オフが決まる。このオンになる位置のことをアクチュエーションポイント、オフになる位置をリセットポイントと呼んでいる。
VK600A/VK720Aでは、これらのポイントがキーの位置を追従するように変化する。そのため、キーが絶対的な座標としてどこにあるか、をオン/オフの判定に使用するのではなく、「押し始めてからどれだけ押し込まれたか」「戻し始めてからどれだけ戻ったか」という相対的な移動距離で判定する仕組みになっている。
キーを押下げる速度はタイプする力や速度を速めることで上げることができるが、キーが戻る速度はスプリングやラバードームの復元力に依存する。反発力を上げれば戻りは速くなるが、その分押下には力が必要になる。VK720Aの追従式アクチュエーションポイント/リセットポイントでは、軽い力での押下と素早いキーオフが両立できる。これによって、キーを連打したときにも非常にスムーズに認識される。
2ndアクションは浅く押した時と、深く押した時に異なるキー信号を送る仕組みだ。「歩く」と「走る」を異なるキーにバインドできるゲームの場合など、キーを軽く押し下げていると歩き、深く押し下げれば走る、というように1つのキーで操作を使い分けることができる。
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