“NEXT GIGA”のスペック更新で各社が学習用端末をアップデート──「NEW EDUCATION EXPO 2024」レポート(2/8 ページ)
6月6日〜8日にかけてTFTビル(東京・有明)で開催された「NEW EDUCATION EXPO 2024」。GIGAスクール構想第2フェーズに向けて更新された要件を満たす学習用端末のほか、校務用端末などさまざまなものが展示されていた。ここではハードウェアに焦点を絞って紹介する。
使い勝手の良いChromebook──日本HP
日本HPのブースでは、教育向けノートPC、プリンタ、Web会議ソリューション「Poly」を展示していた。
教育向けノートPCでは、現行の「HP Fortis x360 G5 Chromebook(Wi-Fiモデル)」の他、2024年10月リリース予定の「HP Fortis x360 MK G5 Chromebook」のモックアップを展示していた。新製品ではコストを下げるため、CPUにMediaTek Kompanio 520を搭載している。また、アウトカメラは現行機種の8MPから5MPにスペックダウンし、USB Type-C端子も2基から1基に変更されている。
その代わりに、現行機種が1.46kgとGIGAスクール端末要件ギリギリの重さだったのに対し、新モデルは1.3kgに軽量化を果たしている。児童や生徒の負担も軽くなるだろう。
興味深いと思ったのは、付属するスタイラスペンの充電端子の位置だ。ペン自体と充電トレイ内のどちらも中央付近に端子があり、左右どちらにペン尻またはペン先を向けて置いても充電できるようになっている。聞けば、「左利きのお子さんのワンアクションを減らすため」だという。なるほど、左利きであれば、ペン尻が左を向いている方が使い勝手が良い。よく考えられている。
また、キーボードのパームレストの端にカメラがあるのも気になった。その理由は、タブレットとして使う際、手でふさがないようにするためとのこと。コンバーティブルタイプのPCでは、ディスプレイをぐるりと回転させてキーボードもディスプレイも外側に向くようにして使うが、縦向きで持った場合、長辺の部分をつかむことが多い。タッチパッドの近くにカメラを搭載してしまうと手がじゃまになるというわけだ。徹底的に使い勝手にこだわった端末作りをしているのだなと感じさせられた。
これは開発中のHP Fortis x360 MK G5 Chromebookのモックアップだが、カメラ穴の位置はやはりパームレストの端に寄せられている。これにより、タブレットスタイルにしたときに端末を支える手が映り込むのを防いでいる
10月には現行機種で「応用パッケージ」をリリースするとのこと。これはMVNOとなった自社の回線で5年間データ使い放題にするサービスをパッケージ化したもので、物理SIMのコストを削減するためにeSIMを採用している。また、LTE Cat-Mチップを内蔵することで、電源が入っていなくても、またWi-Fiやモバイル通信をオフにしていたとしても、位置情報を追跡できる。
これにより、紛失時にどこにあるのかを見つけられるようになる。リモートロックや、万が一のときにはリモートでデータ消去することもできる。これは後づけできないため、「メーカーならではの強みだ」と担当者は語っていた。
その他、プリンタ「HP Smart Tank 7305」も展示していた。同機の強みはプリントアウト時にかかるコストが非常に低いことで、カラープリントでも1枚につき約0.93円という低価格を実現している。
「ビジネスの世界ではペーパーレスが主流だが、成長中の子どもたちは成果物を目に見える形で得たいと感じている。そのため紙に印刷することが重要だ。とはいえ、学校側も資金が無限にあるわけではないのでコストをかけたくない。両者のニーズを満たすのが、HP Smart Tank 7305だ」(担当者)
HPが展開するプリンタのドライバーは、ChromeOSに組み込まれている。そのため、わざわざプリンタの機種名を調べてドライバをネットで検索、ダウンロード、インストールするという手間がかからないのも、強みだと語っていた。
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